遠くない未来に姿を消すであろうエンジン車。その前にもう一度、エンジン車に恋をしたい……それもとびきり極上のエンジンを積むクルマに。そこで、最後の恋にふさわしい「大排気量自然吸気エンジン車」としてこのクルマを選んだ!!
※本稿は2025年10月のものです
文:清水草一/写真:レクサス、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年11月26日号
最後に恋するエンジン車……レクサス IS500(V型8気筒5000cc)
現在国産メーカーで、V8以上の多気筒エンジン(自動車用)を生産しているのは、トヨタと日産だけ。日本国内でV8モデルを販売しているのは、トヨタだけになっている。
大排気量多気筒エンジンは燃費効率が厳しく、スーパーカー用を除けば世界的に絶滅が秒読み段階に入っている。
スーパーカー用すら、ハイブリッド化を余儀なくされつつある。ましてや、大排気量多気筒の自然吸気エンジンは、世界に数えるほどになっている。
トヨタの5リッターV8自然吸気エンジン・2UR-GSEは、その数少ない生き残り組。現在はレクサスのLC500、IS500に搭載されており、直近までRC Fにも搭載されていた。
それらのモデルのなかで個人的に一番心に刺さっているのは、セダンのIS500だ。このエンジンはスポーツモデルよりも、一歩引いたスポーツセダンのほうが似合うと感じる。
最高出力481ps、最大トルク54.6kgm。自然吸気なのでスペック的にはそれほど凄くはないが、とにかくサウンドが素晴らしく、究極の官能エンジンのひとつである。こんないい音がするセダンは、もう世界中探してもどこにもない。つまり、ある意味世界一のセダンだ。
IS500は現在、500台限定のクライマックスエディション(950万円)のみの販売になっている。必ずしも「これで最後」という意味ではないというが、ひょっとすると最後かもしれない。
だとしたら、これに乗らずに死んでいいのか!? まさに中高年カーマニア最後の恋! このエンジンが、まだしばらく余命を与えられることを祈るのみだ。
消える恐竜と残る恐竜
地上から消えつつある大排気量多気筒自然吸気エンジンだが、ピックアップトラックやSUVを中心に、超大型の乗用車が多数売れる北米では、まだまだ生き残るだろう。
つまり、北米向けの巨大なピックアップトラックやSUVを生産しているトヨタも日産も、V8エンジンの生産をまだまだ続けるはずだ。
しかし北米向けを除けば、スーパーカーを含め、絶滅は秒読みだ。

















コメント
コメントの使い方友人のを乗らして貰ったのはRCFですが、同じエンジンですよね。
あれこそ「動画やゲームじゃ伝わらない。実際乗らないと良さが判らない音と振動」筆頭だと思います。
実言うと私もV8の独特音よりボクサーやV6の方が音が好きで、V8そんなに良いか?って思うタイプでした。
乗って体感すると、身体を通して深みと高揚感が凄くて、動画じゃ判らない高音域も吹け上がりもあって、サイコーですねあれも。