昭和の少年たちの記憶に強烈に残る「スーパーカー自転車」。2連のリトラクタブルライトにレバー式シフトチェンジャー、眩しく輝く巨大なテールライト……。あの夢の自転車が現代のテイストを取り入れ令和の少年たちのために蘇る!!
※本稿は2025年11月のものです
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:望月勇輝、アイデス
初出:『ベストカー』2025年12月10日号
蘇ったスーパーカー自転車! 開発と誕生の経緯
ゲームやSNSが当たり前となり、新しいツールが次々と生まれる。現代の子どもたちのエンタメは格段に豊かになった。一方、外遊びの時間は昭和期と比較して約3割減といわれ、社会課題となっている。
東京・台東区の子ども向け運動遊具メーカー「アイデス」に課せられたミッション。それは、現代を生きる子どもたちの背中を、遊具と乗り物でそっと外へと押し出すこと。 社内ディスカッションから浮かび上がった答えが、“スーパーカー自転車”の再定義だった。
「スーパーカー自転車に乗っているだけでヒーローになれた」。当時を知るスタッフの証言は強かった。
プロジェクト始動後に行った調査の結果、レバー式操作、計器類、テールランプといった“儀式性のあるギミック”には、子どもにも大人にも強い共感が宿っていることがわかった。
「復刻では、デジタルネイティブの子どもたちには響かない」。プロジェクトリーダー秋山隼人氏の言葉だ。
発足から2年。アイデスにとって前例のないコンセプトに挑み、フレームは一から新設計。計器風スピードメーターはデジタル化し、かつてのシフトレバーの位置には配光を切り替えるライトレバーを据えた。
テールランプは複数の発光パターンで存在を主張。ノスタルジーを超えて、令和のギミックを採用した車両は、ミライドSと命名された。
公の場に姿を現わしたのは2025年8月に行われた東京おもちゃショー。サンプル車に跨った子どもたちの表情は、近未来の街を駆け回り、身体を動かす楽しさで輝いていたという。
そしていま、2026年春の発売に向け、最終調整は佳境を迎えているミライドS。外へ出る勇気をもたらす希望の光は、新境地に向けて静かに走り出した。
















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