冬タイヤの定番といえば「スタッドレスタイヤ」。毎年冬が近づいてくるとスタッドレスタイヤに履き替えるという人は多いでしょう。しかし、近年は一年を通して使える「オールシーズンタイヤ」の性能も向上しており、特に雪が多くない地域の場合「オールシーズンタイヤで十分なのでは?」と考えるユーザーは少なくないのではないでしょうか。
はたして「雪が年に数回」なら、オールシーズンタイヤが正解か、スタッドレスタイヤが正解か!?? 冬タイヤ選びの「ベストアンサー」を考えていきましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_SB/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】オールシーズン vs スタッドレス!! 「雪が年に数回」地域はどっちが正解? 冬タイヤ選びのベストアンサー(8枚)画像ギャラリー履き替え不要、利便性で勝るオールシーズンタイヤ
まずは冬タイヤの定番「スタッドレスタイヤ」の特徴を整理しましょう。スタッドレスタイヤは低温下でも硬くなりにくい専用ゴムと無数のサイプ(細かな切り込み)により、圧雪路や凍結路でも「走る・曲がる・止まる」という基本動作を安定して行うことができるのが最大の特徴です。
毎年改良が重ねられていることで、苦手とされてきた氷上でのブレーキ性能やロードノイズも改善されており、雪国で暮らす人々にとっては欠かせない「冬の必需品」となっています。
一方のオールシーズンタイヤは、その名のとおり一年を通して履けるタイヤで、最大のメリットは履き替えが不要のため、タイヤ交換の手間やコストが削減できること。外したタイヤを保管するスペースの心配が不要な点も、都市部のユーザーにとってはありがたい点です。
ただ、雪道や氷上での性能は限定的
ただし一般的なオールシーズンタイヤは、タイヤメーカー自身が「冬も走れるサマータイヤ」と説明しているように、雪道性能は限定的と考えたほうがよいです。
オールシーズンタイヤの性能は近年飛躍的に向上しており、厳しい雪道の下でもグリップ性能を発揮できるとしてASTM(米国試験材料協会)の規格を満たした「スノーフレークマーク」を備えるモデルや、氷上性能について国連の基準を満たした「アイスグリップシンボル」刻印を備えるモデルもありますが、オールシーズンタイヤとして販売されているもののなかには「M+S」(Mud (泥、ぬかるみ)and Snow)の刻印しかない商品もあり、この場合は過信禁物。トレッドパターンの工夫等によって「軽い降雪なら走れる」性能は備えますが、本格的な圧雪路・凍結路になるとスタッドレスタイヤとは比較になりません。
JAFの実験でも、オールシーズンタイヤは、圧雪路ではノーマルタイヤとスタッドレスタイヤのほぼ中間の制動距離となり、氷盤路ではノーマルタイヤと変わらない制動距離という結果となっています。つまり「雪は弱いが、氷にはもっと弱い」というのがオールシーズンタイヤの実力なのです。
「雪が年に数回」地域は「凍結リスクの有無」で判断を
そのため、どのオールシーズンタイヤにするかによっても異なりますが、「雪が年に数回」という地域であっても、朝晩の冷え込みが厳しい地域や、早朝・深夜に運転するケースが多い場合は、スタッドレスタイヤのほうが安心です。
雪道でもっとも危険なのは、実は「アイスバーン」。路面にうっすら残った水分が朝晩に凍りつくことで発生し、見た目では気づきにくいのに滑りやすいのが特徴です。このリスクが少しでもあるなら、迷わずスタッドレスタイヤを選ぶべきです。
逆に、雪は年に数回で「1~2cmだけ」「積雪は日中のうちに溶ける」「走行は平地中心で凍結しない」という地域なら、オールシーズンタイヤは有力な選択肢になります。積雪量で判断するのもひとつの基準ですが、凍結リスクの有無を基準に判断すると、もう少し明確になるかもしれません。
◆ ◆ ◆
オールシーズンタイヤは、主に都心部で生活する人に向いているタイヤです。それでも、降雪や凍結の可能性がある地方や山間部に出かける可能性があるならばスタッドレスタイヤが必要で、雪山に行く機会があるならば、チェーン携行は必須です。
冬の道路は、わずかな油断が大事故につながることもあります。タイヤは「命を守る部品」。ご自身の生活環境に合わせて、安全で後悔のないタイヤを選んでください。
【画像ギャラリー】オールシーズン vs スタッドレス!! 「雪が年に数回」地域はどっちが正解? 冬タイヤ選びのベストアンサー(8枚)画像ギャラリー












コメント
コメントの使い方