2025年6月、トヨタは欧州仕向けの「ランドクルーザー250」に、250として初となる48Vマイルドハイブリッドを採用すると発表した。強靭な悪路走破性を核とするランクルに、あえてマイルドHEVを組み合わせた点は大きな注目ポイントだ。欧州仕様に投入される48Vシステムは、ランドクルーザーに何をもたらすのか。その内容をご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】ランクル初の電動化!! 欧州で発表されたトヨタ「ランドクルーザー250」の48Vマイルドハイブリッドモデル(12枚)画像ギャラリーついにランクル250が電動化!!
今回欧州仕向けのランドクルーザー250に搭載されることが明らかになった「ハイブリッド48V」は、2.8リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジンに、48V電動システムを組み合わせたマイルドハイブリッドだ。
既存のエンジンおよび8速ATをベースに、電動モーター、ジェネレーター、リチウムイオンバッテリー、DC-DCコンバーターを追加する構成としており、大がかりな再設計を必要としない点が特徴。ユニットはコンパクトにまとめられており、従来のパッケージングを維持したまま電動化を実現している。
48Vバッテリーはわずか7.6kg。エンジンの最高出力は151kW(205PS)、最大トルク500Nmで、これに発進時を中心に電動モーターによる最大12kW(16PS)の出力と65Nmのトルクが補助され、減速時には回生機能によってエネルギーを効率よく回収する。燃費は25.9~26.4mpg(約11.0~11.2km/L)、CO2排出量は282g/km。車両価格は8万740ユーロ(約1477万円)からだ。
ベースとなるディーゼルモデルは、燃費26.6mpg(約11.3km/L)、CO2排出量278g/km、価格は5万1729ユーロ(約946万円)なので、数値だけをみると、48Vマイルドハイブリッドモデルは価格が大きく上昇する一方で、燃費性能はほぼ同等だ。
ただし重量級のランドクルーザー250にとって、もっとも負荷がかかる発進時に即応性に優れた電動モーターのトルクが加わることは、発進時や加速時のトルクの立ち上がりが改善し、アイドリングストップからの再始動もよりスムーズになるなど、実用性が大きく向上する。このユニットは、燃費数値の向上を狙うユニットというよりも、発進時の力強さや静粛性、日常域での扱いやすさといった「体感価値」を上乗せする実用重視のユニットと捉えるべきだろう。
走破性はそのままに、信頼性と快適性を両立
もちろんランクルならではの走破性もしっかりと確保されている。ランドクルーザー250といえば、ラダーフレーム構造、トルセンLSD付きセンターデフを備えるフルタイム4WD、700mmの渡河性能など、圧倒的なオフロード性能を誇る本格クロスカントリーSUVだが、今回導入された48Vシステムでは、モーターやジェネレーターを高い位置に配置し、防水性や耐環境性を確保。泥水や砂塵、急勾配といった過酷な条件下でも、信頼性を維持するよう設計されている。
オンロード走行時も、48Vマイルドハイブリッドシステム搭載によって、エンジン始動時の静粛性向上や、停車からのスムーズな再発進、振動・騒音の低減といった効果が得られる。とくに市街地や高速道路における巡航走行では、48Vマイルドハイブリッドシステムによるアシストが燃費性能の向上だけでなく、ドライバーの疲労軽減にも寄与するはずだ。
ランクル250として初となる48Vマイルドハイブリッドの採用は、悪路走破性と現代的な快適性・効率性を高次元で両立させた点に、大きな意義があるのだ。















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