ベストカーでも再三お伝えしているとおり、2026年4月1日から、自転車での交通違反に青切符制度が導入される。ここでは、青切符導入後に起こり得る事態への対処法について、法律のプロである弁護士の永岡孝裕氏にお話を伺った。
※本稿は2025年11月のものです
文:永岡孝裕(弁護士)、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部ほか
初出:『ベストカー』2025年12月26日号
自転車の青切符制度導入後に運転者が真っ先にすべきこととは?
ベストカー:2026年4月1日からいよいよ自転車にも青切符制度が導入されます。自転車に乗る人にとって一番怖いのは、自身が「違反をしている」という意識がないまま運転していることではないでしょうか。
永岡:おっしゃるとおり、違反と知りながら行う確信犯的なケースもありますが、それが違反だという自覚がないまま乗っている場合のほうが多いと思います。違反をしないためには、今回の青切符制度導入を機に、乗り手一人ひとりが意識を根本から変える必要があると思います。
ベストカー:交通ルールをこれから学ぶ子どもより、長年の癖が染みついた大人のほうが意識改革は難しいかもしれません。
永岡:ええ。これまで指導警告で済まされてきた、あるいは見過ごされてきた行為が、今後は反則金(青切符)の対象になるわけですから、長年の癖になっている方からすれば、厳しい改正だと感じると思います。そもそも、交通ルール自体をよく知らないまま運転している人も多いのが実情です。
ベストカー:自転車横断帯がある場所以外では、横断歩道を自転車に乗ったまま渡ってはいけないということを知らない人は多いですね。
永岡:今回の青切符制度の導入の背景には、自転車が関連する事故の増加が最大の理由としてありますが、それと同時に、まず「ルールを知ってもらう」という啓発的な側面も大きいのでしょう。ただ、社会全体の意識改革は簡単なことではなく、浸透するにはかなり時間がかかると見ています。
ベストカー:警察庁の自転車ルールブックによれば、警察は、歩道での徐行違反など一部の違反(歩行者を威嚇したり、警告を無視したりする悪質なケースは除く)は、当面はこれまでどおり指導警告とする方針であることを表明しています。
しかし、自転車は車道走行が原則であることには変わりありませんが、自転車が車道を走るのは危険だと思います。
永岡:危険であることは間違いありません。最大の問題は、自転車専用レーンといった道路インフラの整備が不十分なまま、取り締まりが強化される点です。車道を走りなさいと指導するのであれば、まずは安全に走れる道路インフラの整備が急務だと思います。
ベストカー:クルマにとっても怖いですし、自転車が車道を走って得する人は誰もいないのではないでしょうか。
永岡:確かにドライバーにとっては危険が増える側面は否めません。しかし、歩行者にとっては大きなメリットがあります。自転車と歩行者の事故は非常に多いですから。歩道を走る自転車が、歩行者を威嚇したり危険に晒したりする行為は取り締まりの対象となりますが、問題はその基準です。
何をもって威嚇と判断するのか。ここが現場の警察官の裁量に委ねられ、基準が曖昧なまま運用されると、市民の間に不公平感が出てしまいます。この運用基準の明確化は大きな課題だと思います。
ベストカー:クルマのドライバーとしては、逆走、一時停止義務違反、スマホを使用しながらの運転といった、運転者、周囲ともに危険に晒すような重大な違反からまずはしっかり取り締まってくれれば、というのが本音だと思います。







コメント
コメントの使い方