警察は青切符を切った時に違反者をどのように特定するのか?
ベストカー:クルマの場合は切符を切られた時に免許証を提出することによって本人確認ができるわけですが、自転車は身分を証明するものの携帯が義務付けられていません。この場合、警察は違反者をどのように特定するのでしょうか。
永岡:免許証、マイナンバーカードなど、身分を証明するものを任意で提示できれば問題ありません。
あとは防犯登録ですね。一般の自転車販売店で購入した多くの方は防犯登録をしていると思いますが、ネット通販などで購入したりしたケース、自分でパーツを組んで乗っている方というのは、防犯登録をしていない人も散見されます。
さらに注意すべき点として、防犯登録の有効期限は都道府県によって異なります。東京都の場合は10年です。期限を過ぎれば防犯登録から住所を特定できない可能性が出てきます。
ちなみに、防犯登録の有効期限が切れたまま自転車に乗ることで罪に問われることはありませんが、自転車が盗難された時に自転車を特定しづらいといったデメリットはあります。
こうした方たちが身分証を携帯していなかった場合、本人特定は難航するでしょうね。
ベストカー:嘘の名前を騙ることも考えられます。
永岡:実際にそういったケースが出てくるかもしれません。ここで法的に重要なのは、青切符(交通反則通告書)は公文書にあたるという点です。
もし、違反者がこれに嘘の氏名で署名した場合、有印公文書偽造・同行使罪という重い刑法犯に問われる可能性があります。警察官もその点を指摘し「虚偽申告すると逮捕される」と警告することで、違反者に釘を刺す材料にするかもしれません。
例えば万引き(窃盗)で捕まったケースなどでは、本人の住所等が曖昧な場合、警察官が自宅まで同行し、実際にカギを開けさせて住所の裏付けを取ることがあります。ただ、自転車の青切符の取り締まりでそこまで徹底した捜査を行うのかという運用上の疑問は残ります。
ベストカー:2026年4月1日からの青切符制の導入後に、防犯登録の切れた自転車が多くて警察がビックリするかもしれませんね。
●永岡孝裕弁護士……一橋大学を卒業後中央大学法学科大学院修了。現在は日本弁護士連合会、第二東京弁護士会、刑事弁護フォーラム、外国人ローヤリングネットワーク、日本プロ野球選手会公認選手代理人等に所属。事務所は東京都新宿区
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