まずはなによりも保険
ベストカー:事故の過失割合、例えば、自分は悪くない、相手の不注意だといったことで揉めた場合も、弁護士の先生お願いするケースになるのでしょうか?
永岡:いえ、ご自身が保険に加入していれば、そのケースでご自身が弁護士を探す必要は基本的にありません。そういった過失割合の交渉は、保険会社が相手方の保険会社と、写真や実況見分調書などに基づいて検証・交渉します。保険会社は顧問弁護士と契約していますから、示談交渉は任せることができ、安心です。
ベストカー:自転車の保険が増えていますが、加入率はそれほど高くない気がします。
永岡:自転車は免許制度がなく、クルマのように自賠責保険の加入義務もないので、無保険のまま乗っている方が多いのが実情でしょう。
その結果、自転車にひかれて大怪我をした歩行者が、加害者に支払い能力がなく、治療費や慰謝料も支払われずに泣き寝入りするケースが社会問題になっています。まずは保険に加入することが何より重要ですね。
ベストカー:その保険についてですが、自転車専用保険以外に、何か活用できるものはありますか?
永岡:まず確認すべきは自動車の任意保険です。特約として「個人賠償責任保険」が付帯していることがよくあります。そのほかに火災保険やクレジットカードに付帯していることもあります。上位カードでは、補償限度額が1億円などに設定されているものもあります。
ベストカー:自分の加入しているクルマの任意保険や持っているカードの特約を確認しておく必要がありますね。
永岡:はい。「個人賠償責任保険」は自転車事故だけでなく、例えば誤って他人にぶつかって、相手のスマートフォンを落として壊してしまった、といった日常生活の賠償にも使えます。非常に幅広くカバーしてくれるので重宝します。
ベストカー:自転車のために保険をかけるというのはまだ浸透していませんが、クルマ同様に保険に加入することが自分、そして相手を守ることにつながるわけですね。
永岡:繰り返しになりますが、弁護士費用を心配する前に、まずは保険に加入するのが先決だと思います。
「自転車の2人乗り」についても伺ってみた
原則として禁止です。例外規定も厳格に定められています。
道路交通法第57条第2項は、公安委員会が定める場合を除き、運転者以外の者を乗車させることを禁じています。
これを受け、例えば東京都の場合、東京都道路交通規則第10条第1項で、16歳以上の運転者が以下のいずれかの場合に限り、例外的に同乗が認められています。
(1)幼児用座席に「小学校就学の始期に達するまでの者」1人を乗車させる場合
(2)「幼児2人同乗基準適合車)(特別な構造を持つ自転車)の幼児用座席に、「小学校就学の始期に達するまでの者」2人を乗車させる場合
(3)幼児(6歳未満)1人を子守バンド等で確実に背負っている場合(この場合、おんぶされた幼児は運転者の一部とみなされます。)
なお、東京都の規則では、上記(3)のおんぶは、(1)の幼児用座席1人との併用が認められています。
つまり、「幼児用座席に1人」+「おんぶ1人」の合計2人(幼児)を乗車させることも可能です。ただし、上記(2)の幼児2人同乗用自転車の場合は、おんぶとの併用は認められていません。
これ以外の、単に「荷台がついているから」といった理由での2人乗りは違反となります。
●永岡孝裕弁護士……一橋大学を卒業後中央大学法学科大学院修了。現在は日本弁護士連合会、第二東京弁護士会、刑事弁護フォーラム、外国人ローヤリングネットワーク、日本プロ野球選手会公認選手代理人等に所属。事務所は東京都新宿区
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