公的機関のほとんどが休業する年末年始に車検が切れていることに気付いたら? 車検切れで運転してしまった場合の罰則や、気付いたときの正しい対処法、さらに年末年始に車検は取れるのかまで、整理してみたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(kimihiko@Adobe Stock)
車検が切れたまま気付かなかった! そのとき何が起きるのか?
車検は正式には「自動車検査登録制度」といい、公道を走るための必須条件だ。車検証に記載された有効期限を1日でも過ぎると、そのクルマは公道を走れない状態になる。年末年始は仕事納めや帰省、旅行などで生活リズムが崩れやすく、車検満了日を失念しやすい時期でもある。
まず大前提として、車検が切れたクルマは運転してはいけない。自宅の駐車場に置いてあるだけなら違反にはならないが、エンジンをかけて公道を走った瞬間に「無車検運行」となる。さらに多くの場合、車検切れと同時に自賠責保険も切れているケースが多く、「無保険運行」も重なる可能性が高い。
では、車検が切れてクルマを運転したら罰則はどうなるのか。車検切れのクルマで公道を走行し、検挙された場合の罰則は、行政処分として、「6点の違反点数(道路運送車両法に違反)」、つまり、30日間の「免停」となります。また刑事罰としても、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法108条により)」が科されます。
車検が切れている場合、強制加入である「自賠責保険」もほとんどが切れているため、さらに「6点の違反点数」と、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。つまり、違反点数が12点となり、「90日間の免許停止」、「最大80万円の罰則金」となります。
この場合、任意保険は、対人賠償保険・対物賠償保険といった相手への補償は、原則としては有効ですが、自車へ車両保険は対象外となります。
年末年始の開放感で「ちょっとだけなら」と走ってしまうと、代償はあまりにも大きい。もし車検が切れた後に気付いた場合、絶対にやってはいけないのがそのまま運転して車検工場へ向かうことだ。
合法的な対処法は2つある。1つは仮ナンバーを取得する方法で、市区町村役場で申請すれば、車検工場や陸運支局まで走行することができる。
もう1つは積載車での搬送で、レッカーや積車を使って工場まで運ぶ方法だ。いずれも「公道を自走しない」ことが重要なポイントになる。
年末年始でも車検は取れる? 忘れないための現実的対策
年末年始に車検が取れるのか、気になるところだ。結論から言うと、陸運支局は年末年始に長期休業するため、持ち込み検査はできない期間がある。一方で、指定工場であれば自社で検査を完結できるため、年末年始でも営業していれば車検を受けられる場合がある。ただし、すべての整備工場が対応しているわけではなく、事前確認は必須だ。
ここで覚えておきたい重要なポイントが、車検は有効期限の満了日から2カ月前から受けることができるという点だ。例えば1月10日が満了日なら、11月10日から車検を受けても次の有効期限は2年後の1月10日となる。早く受けても損はしない仕組みなので、年末年始に満了日が重なる人は、11月や12月初旬に済ませておくのが賢明である。
2025年4月1日に施行となった改正道路運送車両法施行規則によって、「自動車車検証の有効期間が満了する日の2か月前から当該期間が満了する日までの間に継続検査を行う」ことで、新車検証の有効期間の起算日が旧車検証の有効期間満了日の翌日となる、つまり車検証の残存有効期間を失うことなく、2か月前から車検を受検することが可能となった。
これに伴い、自動車損害賠償保障法施行規則も、従来は、新車検証の有効期間に1か月を加えた期間(を経過する日の前日までの契約の申込みついて、契約の締結義務が保険会社に課されていた)だったのが、今回の改正によって、全国一律に2か月となった。
特に帰省や旅行で長距離を走る予定がある人ほど、余裕を持った車検スケジュールが重要だ。車検切れに気付かず高速道路に乗ってしまえば、取り締まりだけでなく、事故時の補償問題にも発展しかねない。クルマは便利で楽しい相棒だが、ルールを守ってこそ安心して付き合える存在である。
年末年始は「気付いたら切れていた」が起きやすい時期だ。車検証を一度確認し、満了日が近いなら早めに動く。それだけで、無駄な出費や重い罰則、そしてせっかくの休みを台無しにするリスクを確実に減らせる。クルマ好きこそ、余裕ある車検管理を心がけたいところだ。








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