同じプラットフォームを使いながら3度目のビッグマイナーチェンジを果たしたデリカD:5。登場から長い年月が経過しているにもかかわらず、なぜデリカD:5は今も支持され、進化を続けているのか。その独自の存在意義について考える。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:三菱自動車
ミニバン×SUVという唯一無二の個性
ご存じのとおり、デリカD:5最大の特徴はミニバンとSUVを融合させた稀有なキャラクター。ボディにはリブボーンフレームと名付けられた環状骨格構造を採用することで高い剛性と耐久性を両立し、タフなミニバンに仕立てている。4WDによる本格的な悪路走破性と、ミニバン唯一のクリーンディーゼルエンジンにより、トルクと燃費を両立している点も大きな強みだ。
デリカD:5は一見大柄なようで、実際の使い勝手は良好。ミドルクラスのミニバンよりやや大きいものの、フロントオーバーハングが短く見切りがいい。筆者が初めてデリカD:5に乗った時も非常に乗りやすかった印象を受けた。3列目シートも実用的で、単なるアウトドア向け車両ではなく、日常からレジャーまで使える万能ミニバンであることがわかる。
現行型がデビューしたのは2007年で、ベース設計が古いことを弱点にも思えるが、デリカD:5の場合は逆。長年にわたる改良でボディ構造や4WDシステムの完成度は非常に高く、「壊れにくい」「タフ」という評価を獲得している。異例とも言える3度目のビッグマイナーチェンジだが、それをハンデどころか、アドバンテージに変えているところがデリカD:5の強みだ。
内外装と先進装備で“今どき感”も獲得
今回のビッグマイナーチェンジで注目すべきは、統合4輪制御システム「S-AWC」をD:5として初採用した点。従来の2WD/4WDオート/4WDロックから、ECO/NORMAL/GRAVEL/SNOWの4モードにされ、ヒルディセントコントロールやブレーキAYCも搭載され、舗装路から雪道、ダートまで、安定性と走破性を一段と底上げしている。
また、外観に大きな変化がないいっぽうで、大きく変わった箇所が内装。8インチのフルデジタルカラー液晶メーターを採用し、インパネやシート生地も刷新された。無骨な“ギア感”を残しつつ、先進性もきちんとアップデートされたことによってビッグマイナーチェンジにふさわしい仕上がりを感じさせる。
マルチアラウンドモニターはカメラ画質を高精細化し、新ビュー表示と移動物検知機能を追加。駐車時の安心感は大きく向上している。また、衝突被害軽減ブレーキは自転車検知に対応し、誤発進抑制は後退時の踏み間違いにも対応。先行車発進通知も加わり、e-Assistは最新世代レベルへと進化した。
快適ミニバンとは別軸の“道具感”
アルファードやセレナ系が「快適&上質ミニバン」だとすれば、デリカD:5は明確に別路線。悪路を走れる道具感、ギアとしての存在感を前面に押し出し、アウトドア派ファミリーのユーザーに強く訴求している。
誕生から時間が経っているとはいえ、思想は一貫している。「ミニバンで、どこへでも行ける」。この唯一無二の価値がある限り、デリカD:5は代替のきかない存在であり続ける。3度目のビッグマイナーチェンジは、その存在意義を改めて証明するアップデートだと言えるだろう。
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