マツダ ユーノスコスモの衝撃 量産世界初の3ローター搭載!【偉大な生産終了車】

■わずか5年で生産終了…その背景は?

 素晴らしくパワフル&スムーズな3ローターエンジンと、妖艶きわまりないフォルムを有していたユーノス コスモが、あっけなく生産終了となってしまった理由。

 それは、まぁ言わずもがなですが「さすがに燃費が悪すぎた」「そして車両価格も高すぎた」という2点に集約されるでしょう。

 3ローターのツインターボエンジンを積む「20B タイプE CCS」のカタログ燃費は6.1km/L。

 このカタログ燃費だけでも相当なモノですが、実際の燃費は、状況によっては2km/L前後となってしまう場合も多かったようです。

 当時は「85Lの燃料タンクがみるみるうちに空になる!」「燃料計の針が下がっていく様が目で見てわかる!」などという悲痛な叫びが飛び交っていました。

リアビュー。わずか5年で生産終了したものの、発売から30年を経てもそのデザイン、エンジンフィールに魅せられる人は今なお多い

 またユーノス コスモは手作業の部分が多いコスト高な生産体制だったため、車両価格もかなり高額でした。

 具体的には、R32型日産 スカイラインGT-Rが445万円だった時代に20Bの上級グレードが465万円で、2ローターの13Bでも370万円でしたので、「マツダのロータリーエンジンが好きで好きでたまらない!」という一部の人以外にとって、ユーノス コスモはかなり縁遠い存在であったことは間違いありません。

 まぁここまで燃費が極悪だと、仮に時代がどうであっても99%の確率で生産終了になるとは思うのですが、それでも、ドリフ大爆笑ではないですが「もしもバブルが崩壊していなかったら……」と夢想することはあります。

 ウソのような好景気の下でも、「リッター2kmの車」というのはそうそう売れるものではありません。しかしこれだけ(燃費以外は)素晴らしいエンジンと、素晴らしいデザインが採用されたラグジュアリークーペなのですから、もしもあのままウソのような好景気が続いていたならば、一部のモノ好きなお金持ちに、この車は長く愛され続けた可能性もあったのです。

 とはいえ景気というのは必ず循環しますので、永遠に続く好景気などありません。

 1980年代後半からのバブルはご存じのとおり破裂しましたし、直近の比較的バブリーだった景気状況も、COVID-19の発生とともに終わりました。

 それゆえ、これはもう「言っても仕方ない」という話であり、ユーノス コスモの極悪燃費が正当化されるというわけでもありません。

■ユーノス コスモ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4815mm×1795mm×1305mm
・ホイールベース:2750mm
・車重:1640kg
・エンジン:直列3ローター ツインターボ、1962cc
・最高出力:280ps/6500rpm
・最大トルク:41.0kgm/3000rpm
・燃費:6.1km/L(10モード)
・価格:530万円(1990年式20 B タイプE CCS)

【画像ギャラリー】圧巻のサイドビュー! ユーノスコスモの姿をギャラリーでチェック!!!

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