今回、日本メーカー6社、計8台という多彩な電動車を揃え、同じ日に、同じコースで試乗できる機会を得た。試乗の舞台は追浜にある日産グランドライブ。元日産自動車開発者でモータージャーナリストの吉川賢一氏が電動車8台に試乗して評価を下す!
文:吉川賢一/写真:小林岳夫
電動車の差は“減速”で出る 評価軸は「操作の自然さ」にあり
電動車はゼロ発進から大きなトルクを発生する特性によって、加速性能に優れることは、多くのドライバーが感じていることだろう。とくにエンジンが非力な軽自動車ではその恩恵が顕著で、日産サクラ/三菱eKクロスEVは、ガソリンモデルの約2倍とされるトルクによって、従来とは別次元の扱いやすさを実現している。
高級車の領域でも電動化のメリットは大きかった。かつては大排気量エンジンで補っていた動力性能を、電動モーターとの組み合わせによって、ダウンサイジングと高出力を両立することが可能になったのだ。
しかし、電動車が普及した現在、評価軸はさらに一歩先へ進んでいる。単に「速い」「静か」といった要素ではなく、ドライバーの操作に対してどれだけ自然に応答するか、すなわち「操作と挙動の一体感」が問われる段階に入っている。
その差がもっとも顕著に表れるのが減速時だ。アクセルオフに対する回生ブレーキの立ち上がり、停止直前の収まり、そして再加速へのつながり。
この一連の流れが滑らかに繋がる車両は、操作に対するストレスが少なく、自然に扱うことができる。一方で、立ち上がりが急すぎたり、逆に遅れがあったりすると、どれだけ速くても違和感として明確に残る。
今回試乗したBEV(電気自動車)はレクサス「RZ550e F-SPORT」、日産新型「リーフB7 G」、日産「サクラG」、ホンダN-ONE e:G」、スズキ「eビターラZ(4WD)」の5台。
一方、PHEVは三菱「アウトランダーPHEV P Executive Package」、マツダ「CX-60PHEV Premium Modern」、マツダ「MX-30Rotary EV Natural Monotone」の3台。
8台一気乗りで判明!“気持ちいい電動車”と違和感の正体
今回試乗した8台のなかで、筆者がもっとも完成度が高いと感じたのがアウトランダーPHEVだ。特に印象的だったのは、減速から再加速へのつながりの自然さ。
他車ではアクセルオフ直後の回生の立ち上がりが急だったり、あるいはワンテンポ遅れる場面が見られたのに対し、アウトランダーは減速Gの変化が極めて滑らかで、コーナリング中でも違和感なく踏み直すことができた。
フル加速時にはエンジンが作動しているはずだが、その存在を意識させない静粛性と制御の巧みさも際立つ。PHEVでありながらもっともBEV的な完成度を感じさせる一台だった。
レクサスRZ550eは、電動ドライブそのものの完成度は非常に高かった。アクセル操作に対する応答は滑らかで、踏み加減に応じてリニアにパワーが立ち上がり、減速時の安定性も高い。
静粛性も優れており、路面を舐めるように進む感覚がある。またADASのレーンキープ制御も自然で完成度が高い。
ただしコーナリング時には、操舵入力に対する横Gの立ち上がりにわずかなズレを感じる場面があり、「操作と挙動の同期」という観点では気になるポイントが残る。ヨークステアリングに伴う操作系の違和感は、慣れで解消される可能性はあるだろうが、初期印象としては評価を分ける要素となった。
スズキeビターラ(4WD)は対照的に、軽快さが際立つモデルだ。車体の軽さを感じさせるハンドリングは、今回の試乗車のなかでもっとも軽快で、積極的に走らせたくなるキャラクターだ。
減速から再加速へのつながりもスムーズで、コーナーでの踏み増しも自由自在に行える。一方でADASの介入はやや強めで、場面によってはドライバーの意図とのズレを感じることもあった。
新型リーフB7は、操作に対する応答の滑らかさと扱いやすさが光る。低速域でも違和感が少なく、操舵力は軽めで、乗り心地も穏やかかつ静粛性が高く、全体としてリラックスした移動が可能だ。
ADASのレーンキープ制御も自然で安心感が高い。積極的なドライビングよりも、「移動時間そのものの快適さ」に価値を置いた仕上がりといえる。
軽BEVのサクラとN-ONE e: も興味深い存在だ。サクラは扱いやすい加速フィールと、自然な減速挙動が印象的で、特にADASの制御はとてもなめらかで違和感が少ない。軽自動車の枠を超えた完成度だ。
一方のN-ONE e:は、足回りのしなやかさと乗り心地のよさが際立ち、走りの素性はサクラを超える部分もある。減速から加速へのつながりも自然で、日常域での扱いやすさに優れるが、内装や演出面でのBEV特有の特別感はやや控えめだ。
































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