梅雨やゲリラ豪雨のシーズンに気になるのがタイヤのウェット性能。クルマの性能がどれだけ進化しても、路面と接しているのは4本のタイヤであり、特に雨天時はタイヤの性能が安全性に直結する。今回は雨に強いタイヤについて「溝デザイン」「素材」「見分け方」の3つに分けて解説していく。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC
■雨に強い理由は「溝デザイン」にあり
タイヤの表面にはさまざまな形状の溝が刻まれており、路面の水を排水する重要な役割を持つ。その中でも、もっとも排水に効果的なのが縦方向へ直線状に伸びる溝。縦溝は路面の水を後方へスムーズに流しやすく、高速道路などでも安定した排水性能を発揮する。
次に代表的なのがV字パターン。タイヤ中央から左右外側へ向かって溝を配置することで、水を左右へ振り分けながら排水する仕組みだ。さらに方向性パターンと呼ばれる溝もある。これはタイヤの回転方向を指定し、排水の流れを意図的に作り出す設計。進行方向に合わせて効率よく排水させる狙いがある。
基本的には、溝は広く、深く、数が多いほど排水性能は有利。しかし、溝面積を増やしすぎると、タイヤ表面のゴムの剛性が低下し、ふらつきや制動距離の悪化を招く。そのためタイヤメーカーは、排水性能と操縦安定性のバランスを取りながら設計している。
最近のスポーツタイヤでは左右非対称パターンを採用するモデルも増加。これはOUT側の溝を少なくしてハンドリング性能を高め、その分、IN側の溝を増やしてウェット性能を確保するという考え方で、スポーツ性能とウェット性能を両立するための工夫といえる。
■ウェット性能を左右する「シリカ」という素材
雨天時のグリップ性能を向上させる欠かせない素材が「シリカ」。シリカをゴムへ配合すると、タイヤが路面の細かな凹凸へ追従しやすくなり、濡れた路面でもグリップしやすくなる。また、シリカの配合量が多いタイヤは、転がり抵抗も小さく、低燃費。両立させることが難しい性能だが、シリカを用いることで可能になる。
ただし、シリカとゴムは相性が悪く、ゴムに配合することが困難。さらに、単純に混ぜればよいわけではなく、ゴムへ均一に分散させるノウハウが求められる。そのため、どれだけ高濃度でシリカを配合できるかが、タイヤメーカーの技術力の見せどころ。
シリカのコストはゴムと比べて特別高価ということはないが、シリカを配合するために用いる他の素材や、設備にコストがかかるため、スポーツタイヤやプレミアムタイヤなど、嗜好性の高いタイヤに多く使われる傾向にある。
■雨に強いタイヤを見分ける方法とは?
ここまで雨に強いタイヤの特徴を解説してきたが、見た目だけで判断するのは難しい。そこで参考になるのが「タイヤラベリング制度」だ。これは2010年から、JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)が業界自主基準として展開している制度で、タイヤの性能をひと目で分かるように表示したもの。
販売時に貼られているラベルには「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」が表示され、転がり抵抗性能はAAA〜C、ウェットグリップ性能はa〜dで表される。ウェット性能に優れるタイヤを選ぶなら「a」評価のモデルを選びたい。
ただし、すべてのタイヤにラベリングの表示がされているわけではなく、また、同じ銘柄でもサイズによって取得ランクが異なる場合もある。購入時にはサイズごとのラベルの確認が大切だ。これから梅雨シーズンを迎える前に、自分のタイヤがどんな性能を持っているのか、一度チェックしてみてはいかがだろうか。
【画像ギャラリー】高性能でも放置プレイはNG!! タイヤとの上手な付き合い方(3枚)画像ギャラリー






コメント
コメントの使い方