■日本軽視といわれる日産 再び元気を取り戻すのに必要なもの
かくして日産は、いつしか「日本市場軽視」というイメージが強まってしまったわけだが、その背景には業績不振はいうまでもないとして、新しくしたくてもできなかったふたつの大きな要因が考えられる。ひとつはゴーン氏によるグローバルでの拡大路線の弊害、もうひとつが日産をとりまくアライアンスの体制による影響だ。
ゴーン氏は売れる地域に向けて売れるクルマをどんどん送り込もうという、ビジネスとして考えると至極まっとうな方針を打ち出していたわけだが、それが度を超えていた。
逆もまたしかりで、売れない地域にはあえて力を入れない。すなわち伸びのあまり見込めない日本市場は、NMKVのような新しい試みこそあったものの、他の地域に主眼を置いて開発したうち日本でも通用しそうなクルマを売るにとどまったという見方ができる。
そのためここ数年、日本向けの新型車の投入がすっかり手薄になってしまった。それでいて中国では好調ながら、肝心の北米やアジアの状況もあまりよろしくなく、欧州にいたっては撤退も視野に入れた情報まで飛び交うほどとなっているのが始末が悪い。
一方のアライアンスについてご存知のとおり、日産とルノーの関係に三菱が加わり、メルセデスも少なからず関わっている。水面下でどのように話が進められているのかはわからないが、お互いの開発効率を高めるため、日産はCセグとDセグ、フレームSUVを担当し、Aセグ、Bセグ、商用バン系はルノーと三菱に方針をすでに約1年前に明らかにしている。
実際ここ数年、日産もこれまでどおり新型車の開発は行なっていたようだが、それが頓挫したものも少なくないようだ。もっとも開発リソースが豊富なはずの日産が、もっともニューモデルが出ていない感があるのは否めない。
途中まで進んでいたが見直すことになりモデルチェンジが先延ばしにされた車種もあると見られる。そのうちのいくつかは今後、開発が再開されるかもしれないし、いずれにしてもアライアンスによるシナジー効果が形になって世に出てくるのは、これからが本番を迎えるといえそうだ。
むろん日産としても日本市場をあえて軽視するつもりなどなかったのだろうが、結果的にそう見えてしまったのはそれなりの理由がある。
日本軽視と評されたことは日産自身も気にしており、日本向けモデルのインフィニティエンブレムを廃したり、2019年夏のマイナーチェンジでスカイラインを日産っぽいデザインとしたのはご存知のとおり。これは日産は日本を大事にし、スカイラインファンを大事にするという意思表示にほかならない。
ということで、いまの日産はけっして日本を軽視していない。そんな今の日産が元気を取り戻すべく手がけた日本向けのニューモデルが早く見られるよう期待したいところだ。
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