近年、クルマには自動ブレーキや誤発進抑制装置など、ASV(先進安全自動車)が普及しています。しかし、保険会社各社はここ数年、自動車保険料の引き上げを続けているのが現状です。なぜ、安全装備が進化しているのに保険料は上がるのでしょうか。保険料の引き上げに対抗する契約内容についても一緒に考えていきましょう。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(メイン画像=GARDENS)
【画像ギャラリー】えっ!? 安全装備が増えたのに保険料アップ!? 意外な理由が見えてきた!!(6枚)画像ギャラリーASVは「事故をゼロにする装置」ではない
警察庁の統計に基づき、直近2年間の全国データ(人身事故)を比較すると、事故件数は横ばいから若干の増加傾向が見られます。
ASVは、追突事故や踏み間違い事故の抑制に大きな効果があるのですが、事故をゼロにする装置ではありません。近年、高齢ドライバーの増加に加え、スマートフォンのながら運転などリスクの大きい運転が増えたほか、自転車や電動キックボードなど多様な交通手段との接触リスクも高まっています。ドライバーが安全装備を過信して注意確認がおろそかになるケースも増えているのです。
さらに、人身事故として扱われない物損事故も含めれば、日常的な接触事故や駐車場内での事故は依然として多く発生しています。安全技術は着実に進歩しているものの、それを上回るさまざまなリスク要因が存在するため、事故件数そのものは期待されたほど大きく減少していないのが現状です。
保険料が上がる本当の理由は「事故件数」だけではない
「事故件数がそれほど増えていないなら、なぜ保険料は上がるの?」という疑問は、多くのドライバーが抱くでしょう。ただ、自動車保険料を決める保険会社が見ているのは、事故件数だけではありません。むしろ近年は、事故1件あたりにかかるコストの上昇が大きな課題となっています。
その代表例が修理費です。最新のクルマは安全性能の向上と引き換えに、カメラやミリ波レーダー、各種センサーなどの精密機器が数多く搭載されています。以前はバンパー交換だけで済んでいたような接触事故でも、センサー類の交換や再調整が必要となり、修理費用が大幅に高額化するケースが珍しくありません。
さらに、部品価格や整備工場の人件費も上昇しています。物価高騰の影響は自動車業界にも及んでおり、同じ事故でも数年前より高い保険金を支払わなければならない状況が続いているのです。
加えて、保険会社を悩ませているのが自然災害の増加。軒並み大型台風や豪雨、雹害などによって一度に大量の車両保険金支払いが発生するケースが目立っています。以前であれば「数年に一度」と言われていたような規模の災害が、毎年のように発生するようになりました。
もちろん、「だから値上げは仕方ない」と単純に納得できる話ではありません。契約者から見れば、事故を起こしていないのに毎年のように保険料が上がることへの不満は当然あります。ただ、自動車の高性能化や物価上昇が続く限り、保険会社が負担するコストも増え続けるのが現実です。
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