かつて新車購入といえば値引き交渉が当たり前だった。しかし今、その常識は通用しなくなっている。値引きが出にくくなった構造的な理由を理解したうえで、令和の商談で手出しを減らすための現実的な方法を考える。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トビラ画像AC
【画像ギャラリー】値引きが消えた令和の新車商談!今は「下取り価格」で戦え!!(3枚)画像ギャラリー値引きが消えた理由は、利益が消えたからだ
かつて300万円台の新車には20万〜30万円程度の値引きが当然のように行われていた。自動車雑誌が「このクルマで〇〇万円引き」と特集を組み、読者がそれを参考に営業マンと交渉する、そんな時代が確かに存在した。しかし令和の今、ビタ一文値引かないという販売店は珍しくなくなった。値引きの代わりに用品をサービスする形式を採るお店も増え、車両本体はワンプライスで販売し、値引き余地はディーラーオプションの範囲内に限るという方針が主流になりつつある。
この変化の根本にあるのは、新車販売における利幅の縮小だ。クルマの車両価格は社会情勢を背景に上昇し続けているが、そのうちディーラーに落ちる利益は年々目減りしている。新車販売だけでは経営が成り立たず、整備・保険・割賦・中古車といったサブ的な位置づけだった事業で利益の大半を稼ぐディーラーが増えているのだ。新車販売に依存しすぎた販売店が閉店を余儀なくされる事例も出ている。
値引きはなぜできたのか。それは、豊富な新車販売利益を原資にしていたからだ。その原資が細った今、値引きが減るのは当然の帰結である。メーカーへの発注が必要な車両本体やメーカーオプションからの値引きはほぼ期待できず、値引き交渉が成立するのはディーラーが独自に利益を乗せやすいディーラーオプションの領域に限られる。ない袖は振れない、という話だ。
令和の交渉材料は「愛車の下取り価格」だ
では、少しでも手出しを抑えて新車を手に入れるにはどうすればいいのか。答えは今乗っているクルマの下取り価格にある。値引きが難しくなった今、下取り価格の増額を実質的な値引きと捉えて交渉に臨むのが、令和スタイルの商談術だ。
ディーラーの下取り査定にも、少なからずマージンが含まれている。かつてに比べれば下取り価格の水準は改善されたとはいえ、そこに交渉の余地がまったくないわけではない。自分の愛車がいくらで取引されうるのかを事前に把握しておくことが、この交渉を有利に進めるための第一歩だ。
特に注意してほしいのが、「古くて走行距離も多いから大した価値はない」と最初から諦めてしまうケースだ。国内では需要がなくても、海外向けには高い価値を持つ車種が眠っていることは少なくない。年式や走行距離だけで下取りNGと判断される時代ではなくなっている。
複数査定で愛車の正確な価値を把握せよ
下取り価格を交渉材料にするためには、まず自分の愛車の市場価値を正確に知ることが不可欠だ。買取専門店に足を運ぶか、系列の異なる複数のディーラーで査定を取るのが有効な手段。2〜3社の査定額を手元に持っておくだけで、交渉の土台がまるで変わる。
あわせて、中古車販売サイトで自分のクルマと同等の年式・走行距離のモデルが実際にいくらで流通しているかを確認しておくと良い。販売価格から流通相場を逆算することで、業者がどの程度のマージンを見込んでいるかがおおよそ把握できる。これが交渉の根拠になるのだ。
なお、新車の見積もりを複数店舗で取り、買い回りをすることは今の商慣習では避けたほうが無難だ。しかし愛車の査定については複数社に依頼することをためらう必要はない。むしろそれが、適正価格を引き出すための正当な行為だ。
値引きという武器が使えなくなった令和の商談において、下取り価格は数少ない交渉の余地。腹を割って営業マンと話せば、下取り価格の引き上げは決して難しい話ではない。自分の愛車の価値をしっかり把握したうえで、商談に臨んでほしい。
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