1990年代後半、日本の自動車市場はミニバンブームの真っただ中にあった。そんな中でトヨタが投じたのが、セダン「カローラ」の血を引くコンパクトミニバン、カローラスパシオである。車名の由来であるイタリア語の「SPAZIO(空間)」が示す通り、その歴史は空間設計の進化の歴史でもあったのだ。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】小さいのにメチャ広い!! トヨタの空間マジックが凄すぎた!! 初代&2代目カローラスパシオのディテールを見る(10枚)画像ギャラリー初代がたどった道!カローラの血を引くミニバン誕生
1997年1月に登場した初代カローラスパシオは、カローラ系のシャシーコンポーネンツを活用しながら、ボディはひと回り背の高いトール2BOXに仕立てられていた。
室内の使い方には特に工夫が凝らされており、シートレイアウトは3タイプから選択可能。3列シートで多彩なアレンジが可能な2-2-2名の6人乗り、セカンドシートを省いて後席の広さを優先した2-0-2名の4人乗り、サードシートを省いてラゲッジスペースを重視した2-3名の5人乗りである。家族構成や使い方に応じて最適な仕立てを選べるという発想は、当時のミニバン需要の多様さをよく反映している。
エンジンは堅実な構成で、FFモデルには1.6Lのハイメカツインカム(4A-FE型、110PS)、4WDモデルには1.8Lエンジン(120PS)が搭載された。
トランスミッションはインパネシフトの4速ATのみという潔いラインアップであり、ミニバンらしい使い勝手を重視した設計思想が貫かれている。
グレードも標準のスパシオに加え、ルーフレールやオートエアコンを備えたGパッケージ、リアスポイラーや14インチアルミホイールを装着したSパッケージ、豪華装備を満載したLパッケージと細分化され、安全面でもデュアルエアバッグやABS、プリテンショナー&フォースリミッター付きシートベルトを全車標準とするなど、当時の水準として手堅い装備を備えていた。
2代目が示した完璧な回答!「リラックス&フレックス」という割り切り
2001年5月21日にフルモデルチェンジを受けた2代目は、新世代の開発思想「NCV(New Century Value)」のもとに開発され、「リラックス&フレックス」というコンセプトを掲げた。その核心が、5+2シーターというパッケージングである。
これは2列目までをしっかりした座席とし、3列目はあくまで補助的な「緊急用」として割り切り、格納式のフレキシブルベンチに簡略化するという考え方だった。
その分、2列目シートにはスライド&リクライニング機構付きの分割可倒式シートを採用し、ゆとりある快適性を確保している。日常的には5人乗りのミニバンとして広々と使い、必要なときだけ7人乗りに切り替えられるという、現実的な使われ方を見据えた設計だった。
ボディデザインも一新され、躍動感のあるモノフォルムスタイルへと変貌。搭載エンジンは1.5リットルと1.8リットルの直4DOHCで、いずれもVVT-i(連続可変バルブタイミング機構)を採用し、環境性能と動力性能の両立が図られている。
4WDモデルには「Vフレックスフルタイム式4WD」が用意され、グレードは1.5リットルにV、X、X Gエディション、1.8リットルにX、X Gエディション、スポーティなS AEROTOURER(エアロツアラー)が並んだ。
安全装備にはブレーキアシストやEBD付きABSが新たに加わり、全グレードで当時の超‐低排出ガス車認定を獲得するなど、環境対応という新しい価値軸にも応えている。後年のマイナーチェンジでは、フロントグリルとバンパーを一体化したスポーティな表情への変更や、LEDテール・ストップランプの採用など、商品力の維持にも力が注がれた。
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