【PR】岸田精密工業 文:栗田晃
メーカーや排気量を問わず500機種以上の純正キャブレターに対応したオーバーホールキットを開発製造する岸田精密工業。キースターの燃調キットはキャブレターメンテナンスの必需品として、絶版車専門ショップやユーザーに愛用されている。セッティングやオーバーホールで燃調キットを使用する際は、キャブレターを分解組み立てするための工具や、洗浄用のケミカル類が不可欠だ。ここでは燃調キットと併せて用意しておきたい工具やケミカル類を紹介しよう。
正確でスピーディな作業ができるキャブレター専用工具

原付きからビッグバイクまで幅広い機種に対応するキースターの燃調キット。純正キャブレターでパイロットジェット、メインジェット、ジェットニードルのサイズが変更できるのが画期的(通常はバイクメーカーが設定した1サイズのみ)で、多くの絶版車ユーザーから熱く支持されている。その効果を最大限に発揮させるには、キャブレターを壊さない工具と、しつこい汚れを取り除くケミカルが必要不可欠。
フロートチャンバーやトップカバーなど、キャブレターボディ外部に取り付けられた部品の多くはプラスまたはマイナスのビスで固定されており、ドライバーは必需品となる。プラスビスの場合、ビス頭の十字穴のサイズによって1~3のサイズがあり、キャブレターには2番(#2と表記されることもあります)が使われることが多い。
ビスを緩める際はドライバー自体をビスに押しつけながら回すのが基本だが、長期間にわたり分解されたことがない絶版車用キャブレターのビスは固着していることも多く、ドライバーを押しつける力が弱いと十字穴を傷めてしまう(カムアウト)場合もあるので注意が必要。
このような時に重宝するのが、ショックドライバーや電動インパクトドライバーだ。衝撃を加えながら強いトルクで回転するインパクトドライバーは、手で回すドライバーよりも固着したビスを緩める作業に適している。またビスが固着していなくても、緩める数が多い場合は作業がスピーディに進むのも利点となる。ただ、これらの工具を締め付け時に使用するとオーバートルクとなるリスクがあるので、組立作業では手回しタイプのドライバーを使用する方が安全だ。

押しながら回すプラスドライバーの押す力にハンマーの打撃力を利用することで、内部のカムが先端のビットを強く回転させるインパクトドライバー。固着したビスに有効だが、強く叩くことでキャブレターボディにダメージを与えてしまう場合もあるので、使用時には注意が必要。グリップ部分のサイズ(太さ)によって回転トルクの大小があり、画像の製品はグリップが細いため、回転トルクは比較的小さくデリケートな素材向け。
これ以外にも、キャブいじりで持っておくと重宝する工具には以下のようなものがある。
●キャブレタージェットドライバー

キャブレタージェットドライバーの一例。ドライバーの上にあるのはパイロットスクリュードライバーとジェット着脱用ドライバーで、下にあるのはキャブボディ内に取り残されたパイロットスクリューのOリングとワッシャーを取り出すためのピックアップツール。
純正サイズ以外のパイロットジェットやメインジェットが揃っているのが燃調キットの最大の特長だ。ジェットの着脱にはドライバーやメガネレンチを使用するが、真鍮系の柔らかい素材が使われているため通常のドライバーで着脱しようとするとマイナス溝をなめるリスクがある。
このような作業で重宝するのがキャブレタージェットドライバーだ。ジェットのマイナス溝が平行なのに対して、通常のマイナスドライバーは先端に向かって徐々に薄くなるテーパー形状なので噛み合いが甘くなめやすいのが難点。
これに対して、キャブレタージェットドライバーの先端はジェットのマイナス溝にフィットするよう平行に加工されているため、しっかり噛み合ってジェットを傷めづらいのだ。
汎用のドライバーの中にも先端が平行なものもあるが、キャブレタージェットドライバーは専用品なのでジェットを傷める心配が少ないのが魅力。
●フロートレベルゲージ
キャブレターは内部の通路(ベンチュリー)の中を通過するエンジンの吸入空気の負圧や流量によって、フロートチャンバー内のガソリンが吸い上げられ、混合気となってエンジンに送り込まれる。
吸い上げられるガソリンの量は、パイロットジェットやメインジェットで計量されるが、ベンチュリーを流れる空気の量が同じでも、油面が高ければガソリンは容易に吸い上げられ、油面が低ければ簡単には吸い上げられない。つまりセッティング以前の土台となるのがフロートチャンバー内部のガソリンの量=油面である。
フロートレベルゲージがあると、サービスマニュアルなどに記載された油面と実際のフロート位置を比較して調整できる。測定を行う際は、フロートレベルゲージをメインジェットの位置にセットして、キャブボディの下面からフロートの最低位置までの距離を測定し、必要に応じて調整を行う。
●バキュームゲージ
2気筒や4気筒エンジンに装着された2連、4連キャブレターのスロットルバルブは、スロットル操作によって同じ量だけ開閉するのが前提となっている。
オーバーホールで4連キャブをバラバラに分解するとスロットルバルブの同調が崩れるため再調整が必要で、同調調整で頼りになるのがインテークマニホールドに生じる負圧を測定するバキュームゲージである。キャブレター本体、あるいはシリンダーヘッドのニップルにホースを接続してエンジンを始動すると、シリンダーごとの吸入空気に応じた負圧がゲージに表示されるので、その指針を目視で確認しつつアジャスターを調整することで、2個または4個のキャブレターのスロットル開度を揃えることができる。
●パイロットスクリュードライバー(アングルドライバー)
アイドリングやスロットル開度が小さな領域の混合気の吸い出し量を決めるのがパイロットスクリューの戻し回転数(機種によってはエアースクリューで調整する場合もある)だ。パイロットスクリューは締め込み状態から1・1/2回転戻しや2・1/4回転戻しなどデリケートな調整が求められ、キャブ単体とエンジン始動時ではベストな戻し回転数が異なることもある。
パイロットスクリュー自体はキャブレターベンチュリーの下から上向きに取り付けられていることが多く、4気筒エンジンの場合は取り付けた後では手やドライバーが届きづらいことが多い。
このような場面で重宝するのがパイロットスクリュードライバーだ。このドライバーは長い軸の先端にべべルギアを備え、グリップ部分の回転が90°変換されて先端のビットが回るのが特徴だ。またグリップ部分には回転数を示す目盛りがあり、スクリュー自体が見えなくても回している量を手元で把握できる。

4連キャブの2、3番パイロットスクリューは手もドライバーも届かないことが多い。パイロットスクリュードライバーがあれば遠くからスクリューにアクセスできる上に、グリップ部分の目盛りで微妙な戻し回転数の調整量も把握できる。
セッティングを行う前にケミカルで徹底洗浄することが重要
キャブレターやガソリンタンク内に長期間溜まったガソリンは、時間の経過と共に劣化、変質する。そのため、長期放置されたキャブのオーバーホールで燃調キットを活用する際は、ジェット類の交換前にキャブレター自体を徹底的に洗浄することが重要。
ジェット類を外したキャブレター内部にはガソリンと空気の通路があり、この通路はとても細くて狭く、ガソリンが変質したワニスやガム質などの異物で簡単に詰まってしまう。
そんな場面で有効なのが、漬け込みタイプのキャブレタークリーナーだ。この種の製品で好評なヤマルーブのスーパーキャブレタークリーナーは、ガソリン7:クリーナー3の割合で混合して使用する原液タイプで、金属製のバットで希釈した溶液にキャブレター本体を浸して洗浄成分を浸透させる。
このクリーナーはカチカチに硬化したワニスも軟化、溶解させるほど洗浄成分は強力で、パーツクリーナーでは除去できない通路内の汚れにも効果的に作用する。その代わり、樹脂やゴムを劣化させる恐れがあるため、使用する際はキャブレターボディ単体にしなくてはならない点には注意しよう。
軽度の汚れ落としに便利なスプレータイプのキャブレタークリーナー
漬け込みタイプのクリーナーが必要なほど汚れがひどくない場合に使い勝手が良いのが、スプレータイプのキャブレタークリーナーだ。これには泡タイプと溶剤タイプがあり、どちらも洗浄成分とスプレーガス圧の相乗効果で汚れを落とす。
スプレーのガス圧により、洗浄と同時にボディ内部の通路が開通しているのか詰まっているのかを判断できるメリットがあり、吹き付けたクリーナーが別の場所から噴き出せば詰まりはないと判断できる。
泡タイプのクリーナーは、ムース状の洗浄成分がパーツの隅々に付着した状態で長く留まる傾向にあり、ボディから取り外したジェットやニードルを洗浄する際はジッパー付きのビニール袋にスプレーすることで漬け置き効果も得られる。ただし製品によっては、ゴムや樹脂素材に使用できないものもあるので、作業前に注意書きを確認して、必要に応じて分解してからスプレーしよう。
さらに漬け込みタイプでもスプレータイプでも同じだが、通路が通っているように見えて、実は内壁に汚れが残っていることもある。通路径が狭い、穴が小さいほど詰まりやすいので、クリーナー成分を行き渡らせた後にジェットメンテナンス用の極細ニードルで穴の内部を優しく擦ってみるのも効果的だ。
ただしニードルを強く使い過ぎて穴径を拡大すると、ガソリンや空気の流量が崩れてしまう危険性もあるので、慎重に作業することが重要。
キャブレタークリーナーを使用した後はしっかりすすぐ
漬け込みタイプやスプレータイプのクリーナーで汚れや詰まりを解消した後は、パーツクリーナーによるすすぎを忘れずに行う。洗浄後、すぐに組み立てて走行すれば、キャブレター各部の洗浄成分はガソリンによって洗い流される。
しかししばらくバイクに乗る予定がないなら、キャブレタークリーナー成分を洗い流しておいた方が良い。すすぎで洗浄成分を落とすのは食器洗いや洗濯と同じ理屈です。クリーナーによってはゴムや樹脂部品に影響を与える成分を含む場合もあるため、洗浄成分を残さないことが重要。
スプレータイプのパーツクリーナーですすぎを行うことで、ガソリンや空気の通路が開通しているか否かを確認できるメリットもある。エアーコンプレッサーがあればエアーブローガンでもチェックできますが、空気だけでは本当にボディ内を通過したのか否か判別できないこともある。しかしパーツクリーナーは液体なので、キャブ内部に吹き付けているのにどこからも出なければ、まだ通路が詰まっていると判断できるのだ。
正しい工具とケミカルで燃調キットのポテンシャルを引きだそう

洗浄とすすぎを行うことで燃調キットの本領が発揮できる。フロートチャンバーを外した内部が変質したガソリンで変色していたり、緑青と呼ばれる緑色のサビが発生している時は、できる限り分解して専用のケミカルで徹底洗浄を行おう。
キャブレター内部でガソリンが変質したような絶版車の場合、ハンドツールとブレーキ&パーツクリーナーだけでは分解組立や洗浄が不十分ということも多い。せっかく燃調キットでジェットを交換しても、キャブ内部で通路が詰まっていたらセッティングの甲斐がない。
貴重なキャブレターをDIYでいじりたいなら、まずは工具とケミカル類の準備をしてから燃調キットを開封しよう。
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/parts-gears/540685/
キャブいじりに適した工具やケミカルで燃調キットの効果を最大限に引き出そう【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/540685/540704/













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