大手ダンパーサプライヤーのKYBが開発した「ActRide(アクトライド)」は、高精度の制御を実現するアクティブダンパー。しかもセッティングはスマホから制御可能だという。ハイテクはついにドライバーを名メカニックにしてしまった!!
※本稿は2026年5月のものです
文:鈴木直也/写真:中里慎一郎、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年6月10日号
スマホでダンパーのセッティングができる!?
ダンパーの大手サプライヤーとして有名なKYB(カヤバ)から、ActRide(アクトライド)と名付けられたアフターマーケット向けダンパーが登場した。
この商品は単なる可変ダンパーの新バリエーションではなく、いくつかの点で従来製品とは段違いに高度な機能を備えている。
ひとつは、製品キットの専用IMU(慣性計測ユニット)とECUをセットして、ここから得た加速度&角速度情報からクルマの運動状態を把握することで、最適な減衰力を演算する機能。
そしてもうひとつは、そのECUにスマホからブルートゥース経由でアクセスする専用アプリが用意されていることだ。
この専用アプリからアクティブ可変ダンパーの制御パターンや好みのセッティングを自在に設定することができるのだ。
これらは、アフターマーケット向けダンパーに大きなブレークスルーをもたらす可能性がある。
というわけで、2026年1月の発表会以来、個人的にも注目していたアクトライドなのだが、待望の試乗会が開催されたので、その走行フィールについて報告しよう。
ハード設定でもまろやかさを感じさせる乗り心地
商品化第一弾として選ばれた200系ハイエース、そのディーゼル4WDが今回の試乗車だ。
商用車ベースのハイエースに高機能ダンパー? という疑問もあるが、空荷と満載で大きく荷重が変わるこの種のクルマは、可変ダンパーにとって挑戦し甲斐のあるテーマ。
また、ハイエースは「クルマいじり文化」の人気車種で、この種の商品に旺盛な需要があるというヨミもある。
まずはクローズドエリアにて、フルハードとフルソフトの固定設定で極端な違いを体験し、その後にオートモードによる可変制御を確認する。
フルハードでも単に硬いだけでなく、当たりに丸みを持たせた上質な減衰感が印象的だ。一方でフルソフトでは段差の突き上げが大きく軽減される。
ハイエースのノーマルでは空荷でバタつきがひどいと感じる人は、これだけで価値ありと思えるはず。そう、まずはダンパーの基本性能が極めて優れているのだ。このあたり、さすがはOEMの実績が豊富なダンパーメーカーの実力だ。
試乗のメインは一般公道。ここではさまざまなセッティングを試しつつ、ハンドリングや乗り心地についてクルマとの対話を進めていく。
【画像ギャラリー】スマホでダンパー調整って本当!? KYB「アクトライド」のアプリ画面と試乗車をチェック!(16枚)画像ギャラリー専用センサーで感知して瞬時の反応でアクティブ制御
カヤバのエンジニアによれば、商用ワンボックス特有の突き上げ、腰高感、横風によるふらつきをいかにカバーできるかが開発テーマだったという。
用意された3種類のデフォルト設定とも、ベース減衰力がノーマルよりソフトなのはそのため。つまり、基本はソフトに、それをアクティブ制御できめ細かく制御してバネ上を安定させるコンセプトというわけだ。
乗り心地に効くのは“ライド”というパラメータ。スカイフック理論でバネ上を安定させ、直進時の微小な揺らぎにも効果を発揮する。
対して操安性に効くのは、ロールやピッチの過渡域で踏ん張りを強める“ハンドリング”だ。ここを締め込むとステアリングへの追従がよくなり、ブレーキングも安定する。
今回は助手席に座るエンジニアがスマホ操作を代行してくれたが、将来的にはボイスコマンドへの対応も夢じゃない。
スマホと可変ダンパーが出会ったことで、クルマの新しい楽しみが広がりそう。そんな可能性を感じたアクトライドの試乗でした。



















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