フェラーリの半額でル・マン直系の走りが手に入る!? レーシングドライバーがガチで推すミッドシップV8シボレー コルベットの完成度!

走り出すと「沼る」珠玉のパワートレーン

走り出せば決して「よくある」アメ車のような音ではなく、新たな魅力を感じられるサウンドを奏でる
走り出せば決して「よくある」アメ車のような音ではなく、新たな魅力を感じられるサウンドを奏でる

 もちろん欠点もある。プッシュロッドを介してバルブを動かすため、高回転化には限界がある。レーシングエンジンのように1万回転近くまで回す用途には向かない。だからこそ世界中のスポーツカーはDOHCへ移行していった。しかしコルベットは伝統的に実績のあるOHVの長所を極限まで磨き上げた。

 実際にアクセルを踏み込めば、その意味がすぐ理解できる。レスポンスは鋭い。低回転から湧き上がるトルクは圧倒的である。アクセル操作に対する反応は極めて自然で、大排気量自然吸気ならの力強さが全域で味わえる。さらに現代の電子制御燃料噴射との組み合わせによって、古典的なOHVとは思えないほど滑らかで洗練された吹け上がりを実現している。

 エンジンサウンドも魅力的だ。フェラーリのような甲高い咆哮とは異なるが、腹の底から響くような重厚な古典的V8サウンドではなく、弾けるようなパンチある吹け上がりとレーシングエンジンのサウンドが発せられている。まさに新世代アメリカンスポーツそのもの。走れば走るほど、このエンジンに魅了される。若い世代の言葉を借りるなら「沼る」という表現が実にしっくりくる。

固定観念を打ち破る極めて高い操縦安定性

パドルシフトも大き目操作しやすく、ハンドリング性能も優れている
パドルシフトも大き目操作しやすく、ハンドリング性能も優れている

 さらにパワートレーンを支える8速デュアルクラッチトランスミッションも完成度が高い。パドル操作だけで変速速度は極めて速く、アップシフトでは駆動力が途切れない。シフトダウンでは回転合わせも正確で、ドライバーはステアリング操作とブレーキングだけに集中できる。

 エンジンとDCTの協調制御は実によくキャリブレーションされており、この価格帯では驚くほど完成度が高い。ミッドシップ化による恩恵はハンドリングにも現れている。歴代コルベットはロングノーズのFRとして優れた運動性能を持っていたが、重量物を車体中央へ移したことで旋回性能は大幅に向上した。

 ステアリング操作に対する応答は素直で、限界域でも車両姿勢は安定している。一般には、アメ車は直線番長だとか足回りが柔らかくコーナリングは苦手という印象を持つ人も多い。しかし、それは過去の固定観念に過ぎない。

 これまで数多くのアメリカ車に試乗してきたが、そのたびにシャシー開発のレベルの高さに驚かされてきた。クライスラー ネオンしかり、シボレー アストロしかり、そしてコルベットも例外ではない。アメリカは世界最大級の自動車大国であり、自動車工学に対する研究開発も極めて盛んである。だからこそ、ハンドリング性能に優れたクルマが生まれる土壌がある。

モータースポーツの舞台で磨かれた技術

シボレー コルベットはル・マン24時間レースにコルベット Z06 GT3.Rで参戦。2026年も優勝し、ル・マン通算10勝目の栄光を手にした。Z06のエンジンはDOHCである
シボレー コルベットはル・マン24時間レースにコルベット Z06 GT3.Rで参戦。2026年も優勝し、ル・マン通算10勝目の栄光を手にした。Z06のエンジンはDOHCである

 その実力はモータースポーツでも証明されている。コルベットは長年ル・マン24時間レースへ参戦し、OHVエンジンを搭載し、GTカテゴリーで数々の勝利を重ねてきた。

 そしてミッドシップ化された現行モデルでは、レース仕様は先行的にDOHC化され、そのポテンシャルをさらに高めてフェラーリやポルシェと互角以上の戦いを演じるまでになった。レースで鍛えられた技術が、そのまま市販車へとフィードバックされているのである。

 かつてアメリカのワールドスポーツカー選手権でライリー&スコットのレーシングカーをドライブした経験がある。エンジン、シャシー、サスペンション、すべての完成度が高く、当時のフェラーリワークスマシン333SPにも決して引けを取らない性能を持っていた。現行コルベットを走らせると、そのとき感じたアメリカンレーシングカーのテイストが随所に蘇ってくる。

 価格にも触れておきたい。現行コルベットは円安や装備の充実によって1500万円〜2500万円程度まで価格は上昇した。エンジンはOHVからDOHC、ハイブリッドまで揃った。それでもフェラーリやマクラーレン、ランボルギーニの4000万~5000万円以上という価格帯を考えれば、圧倒的なコストパフォーマンスを誇っている。

【画像ギャラリー】ポルシェやフェラーリでなくとも十分スーパーカーを楽しめるコルベット C8がコレ!(15枚)画像ギャラリー

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