日産は、2026年6月には新型「キックス」を、翌7月には新型「エルグランド」と、相次いで新型車を投入しました。いずれも内外装を刷新し、商品力を大きく高めたモデルとして注目されていますが、両車に共通して採用されたのが、新開発の「第3世代e-POWER」です。
燃費や静粛性の向上が注目されていますが、コンパクトSUVから大型ミニバンまで対応する新しい電動システムは、今後の日産車づくりを支える重要な基盤でもあります。第3世代e-POWERの仕組みと特徴をご紹介します。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】共通の武器は第3世代e-POWER!! 日産新型「キックス」と日産新型「エルグランド」(33枚)画像ギャラリー新型キックスと新型エルグランドが第3世代e-POWERを初採用
2026年6月18日に日本発売となった新型キックスは、北米で2024年にデビューした2代目モデルです。従来のタイ生産から国内生産へ切り替えられたほか、ボディサイズは全長4365mm×全幅1800mm×全高1615mmへと拡大。ホイールベースも従来から35mm延長した2655mmとし、ホンダ「ヴェゼル」(4340×1790×1580、WB2610)を上回るサイズとなりました。
水平基調のフロントフェイスや横一文字のリアコンビランプを採用し、内装にはGoogle搭載のインフォテインメントシステムを導入。さらに、日本市場で初めて第3世代e-POWERを搭載し、WLTCモード燃費は25.7km/L(2WD・Gグレードを除く)を達成しました。従来型比で約12%燃費を向上させ、高速道路モード燃費も21.6km/Lから23.8km/Lへ約10%改善しています。
一方、7月16日に発売された新型エルグランドは、約16年ぶりのフルモデルチェンジとなる日産のフラッグシップミニバンです。全長4995mm×全幅1895mm×全高1935mm、ホイールベースは3000mmの堂々としたボディに、タイル状のフロントグリルやシグネチャーLEDを採用し、国内モデル初となる14.3インチ統合型インターフェースディスプレイなど、全面刷新されました。
パワートレインにはこちらも第3世代e-POWERを採用。進化した電動四輪制御技術「e-4ORCE」と、4輪のダンパー減衰力を制御する「インテリジェント ダイナミックサスペンション」を組み合わせることで、運転する楽しさと後席の快適性を高めています。WLTCモード燃費は16.8km/Lを達成しました。
5-in-1電動ユニットと専用エンジンで性能を磨いた
日産のハイブリッドシステム「e-POWER」は、エンジンで発電し、その電力でモーターを駆動するシリーズ式ハイブリッドです。駆動は常にモーターが担うため、アクセル操作に対するレスポンスのよさや、BEVに近い滑らかで力強い加速が大きな特徴です。
今回の新型キックス/新型エルグランド両モデルに採用された第3世代では、電動ユニットと発電専用エンジンをともに刷新し、燃費と静粛性を大幅に向上させました。日産によれば、第3世代e-POWERは第2世代に対して高速燃費を15%改善し、室内静粛性も5.6dB向上したとのこと。単なる世代交代ではなく、e-POWERの弱点とされてきた高速域の燃費とエンジン作動音に真正面から手を入れた進化です。
なかでも大きな変更が、モーター、インバーター、発電機、減速機、増速機という5つの主要部品を一体化した「5-in-1 e-POWER電動ユニット」です。5つの主要部品を一体化したことで、ユニットを小型・軽量化しただけでなく、電力や動力を伝える際の損失も低減。モーターやインバーターも高効率化され、高速走行時の燃費向上につなげています。一体化によってユニットの剛性や組み付け精度も高まり、振動や作動音も抑えやすくなりました。電動車らしい静かで滑らかな走りを、システムの構造から磨き上げています。
発電専用エンジンは、新型キックスには、小型システム用となる1.4L自然吸気3気筒の「HR14DDe」を採用。新型エルグランドには、大型システム用の1.5Lターボ3気筒「ZR15DDTe」が搭載されています。
いずれも、走行状況に合わせて幅広い回転域を使う一般的なエンジンとは異なり、効率のよい回転数で運転しやすい発電専用設計です。ロングストローク形状によってシリンダー内に強いタンブル流をつくり、高圧縮比、高EGR率でも安定した燃焼を可能にしています。
新型エルグランドのZR15DDTeではさらに、日産独自の「STARC燃焼コンセプト」と大型ターボを採用しました。燃焼室内の気流と点火プラグ周辺の火花を細かく制御することで、高いEGR率でも燃焼を安定させています。大型ターボによって多くの空気を送り込み、熱効率を高めながら、大型ミニバンに必要な発電能力も確保しています。





































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