高級ミニバンの代名詞であるアルファードを、残価設定ローン(残クレ)で購入する人が増えている。値上がりが続く車両価格のなかで、なぜディーラーは保証残価を高く設定してまで残クレを勧めるのか。そのカラクリを販売現場の視点から読み解いていこう。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ
【画像ギャラリー】国内外の需要が高い理由はネームバリューだけじゃない!! アルファードの世界観の作りこみにアリ!!(15枚)画像ギャラリー値上がりするアルファードと、月々の負担を抑えたいユーザー心理
アルファードは度重なる改良のたびに車両価格が上昇を続けており、上位グレードともなれば900万円を超える水準に達している。この金額を現金一括で用意できる層は限られており、多くのユーザーは何らかのローンを組んで購入することになることが多い。ここで頭金と月々の支払いのバランスを考えたとき、残価設定ローンは月々の負担を大きく抑えられるという分かりやすいメリットを持つ。
残価設定ローンとは、契約時に数年後の下取り予想価格(残価)をあらかじめ設定し、車両価格からその残価を差し引いた金額を分割払いする仕組みだ。残価分の支払いを先送りする形になるため、通常ローンより月々の返済額を数万円単位で抑えることができる。ハイグレードなアルファードであるほど、この差は顕著に表れる。
アルファードは「残価が読みやすい」特別なクルマだ
ここで重要になるのが、残価設定の根拠となる中古車市場での価値だ。アルファードは新車販売台数の多さもさることながら、国内外で極めて高い中古車需要を持つ。特に海外バイヤーからの引き合いが強く、程度の良い個体であれば数年落ちでも新車価格に迫るような高値で取引されるケースすらあるのだ。
この中古車市場での安定した高値は、ディーラー側にとって「残価を高めに設定しても、実際の下取り時にその価格を下回りにくい」という安心材料になる。つまりアルファードは、残価設定ローンという仕組みと極めて相性の良いクルマなのだ。他の車種であれば残価を高く設定すること自体がリスクになるが、アルファードに限ってはそのリスクが相対的に小さい。
ディーラーが残クレを推す、もうひとつの理由
ディーラー側が残クレを積極的に勧める理由は、顧客の月々負担を軽くするためだけではない。残価設定ローンには、契約満了時に「乗り換え」「返却」「買い取り」の3つの選択肢が用意されているのが一般的だが、多くのユーザーは実質的に乗り換えを選ぶ。これは販売店にとって、数年後の再来店と再契約がほぼ約束されるということを意味する。
一括払いや通常ローンで購入したユーザーは、次のクルマを別のディーラーで検討する自由度が高い。しかし残クレで契約したユーザーは、満了時の手続きや査定の関係で、契約したディーラーへ戻ってくる可能性が格段に高くなる。つまり残クレは、単発の販売を継続的な顧客関係へと変える営業戦略としての側面も持っているのだ。
近年、一部のディーラーではあえて保証残価を市場相場より強気に設定するケースも見られる。これは月々の支払いをさらに軽くすることで契約を後押しする狙いがある一方、ディーラー自身が数年後の再販価格に対して強い自信を持っていることの裏返しでもある。アルファードのように中古車価格が下支えされやすい車種だからこそ、こうした「攻めの残価設定」が成立する。


















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