自動車保険の対物賠償無制限。この言葉から、「相手のクルマやモノの被害が大きくても修理費は全額保険で支払われる」と考えている人もいるかもしれません。しかし、対物賠償には時価額という考え方があります。修理費が事故時の時価額を超えた場合、その差額まで対物賠償だけで補償できるとは限りません。そんな「無制限なのに足りない」という場面を補うのが、対物超過修理費用特約です。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部、AdobeStock、スズキ
【画像ギャラリー】お手軽な価格だけど安全装備が充実しているのはこれだ!! 充実度合いがすごいハスラー(9枚)画像ギャラリー対物賠償「無制限」でも補えない修理費をカバー
対物超過修理費用特約は、事故の相手のクルマの修理費が時価額を上回った場合に、その差額を補うためのものです。ただし、差額が発生すれば必ず支払われるわけではありません。実際に修理することや修理期限など、保険会社ごとに一定の条件が設けられています。
例えば、停車中のクルマにぶつけてしまったAさん。数日後、相手のクルマの事故時点での時価額は20万円でしたが、修理にかかる費用は50万円かかると連絡が来たのです。
Aさんが加入していた対物賠償責任保険は無制限でしたが、保険会社からは「時価額を超える修理費は、対物賠償では補償できない」と説明されました。一方、相手からは「買い替えるのではなく、修理して乗り続けたい」と希望があり、保険会社と修理工場で何度も打ち合わせをし、修理内容などを調整。その結果、Aさんの負担額は当初より軽減されましたが、最終的に自己負担が発生しました。
こうしたケースで役立つのが「対物超過修理費用特約」です。対物賠償責任保険では、原則として相手のクルマの事故時点での時価額が損害額の基準となりますが、特約を付帯していれば、一定の条件・限度額の範囲で、この超過分が補償の対象となります。
ただし、補償の上限や支払条件は保険会社・商品によって異なります。また、過失割合によって支払われる金額も変わるため、「50万円までなら必ず補償される」というものではないという点には注意が必要です。
対物超過修理費用特約を付ける際に確認したいこと
この特約は、付帯方法も保険会社や商品によって異なります。ただし、車両保険のように保険料を大きく左右する補償ではありません。自動付帯の場合、別途保険料は不要です。また、任意付帯の場合でも年間数百円(約300円〜1,000円程度) で付帯できるケースもあるため、保険料だけを理由に外すのではなく、補償内容とのバランスを考えた上で付帯しておきたい補償になっています。
さらに、対物超過修理費用特約を考えるうえでは、旧車やレストアカーの存在も見逃せません。年式が古くても、希少性や車両の状態、購入価格、レストアの内容などによって高い価値が認められるクルマがあります。
旧車は、部品の入手が難しかったり専門的な修理が必要になったりすることで、修理費が高額になる場合が多いのです。「クルマの価値」と「実際に修理するために必要な費用」の差が大きくなれば、対物超過修理費用特約が役立つ場面になります。こうした「時価額を超える修理費」の問題は、旧車に限らず、修理費の高騰によって一般的なクルマでも起こり得るものです。











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