「エンジン付きのレーシングカートは楽しそう。でも高くて、運ぶのも整備するのも大変」。そんな常識をトヨタが変える! かねてからGAZOO Racingが開発を進めてきた入門用レーシングカートが、予告どおり40万円を切る38万5000円でついに発売された。家族で楽しめる工夫も満載だ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA GAZOO Racing
【画像ギャラリー】GRカートに秘められた山のような工夫を見て!(28枚)画像ギャラリー「カートを始めたい」を阻んできた高い壁
GAZOO Racing(GR)は2026年9月10日、入門用レーシングカート「GR KART(GRカート)」を発売した。車両価格は衝撃の38万5000円! 2026年6月の発表時に掲げた「40万円以下」という宣言をきっちり実現してきた。
レーシングカートは、ステアリングやペダルの操作が車体の動きとしてダイレクトに返ってくる、モータースポーツの原点ともいえる存在だ。F1をはじめ、世界のトップドライバーにもカート出身者は多い。ところが、入門カテゴリーと呼ぶには現実のハードルが高すぎた。
本格的に始めようとすれば、エンジンとフレームだけで100万円を超える出費も珍しくない。タイヤなどの消耗品、整備や保管の費用もかかり、コースまで運ぶにはハイエースなどのトランスポーターも欲しくなる。結局は「お金持ちのための競技」というイメージを拭い切れなかった。
しかも近年、国内のカートを取り巻く環境には逆風が吹いている。ブリヂストンとヨコハマは2022年末でカート用タイヤの供給を終了し、国産品はダンロップ1社に頼る状況となった。そのダンロップも2027年末で供給を終えると発表している。
さらに、1973年から約50年にわたって入門層を支えてきたヤマハ発動機も、2026年中にエンジン生産を終え、2027年末でカート事業から撤退する。国内のカート界には大きな衝撃が走った。
そんな状況に一石を投じたのが、トヨタとGRである。目指したのは、速さを極限まで追うための高価な競技車両ではなく、子どもや家族がクルマを操る楽しさへ踏み出せる「最初の1台」だ。
安いだけじゃない! 運搬、保管、整備の負担も軽減
前置きが長くなった。GRカートは全長1820mm、全幅1160mm、全高670mm、ホイールベース1045mm。車重は83kgで、総排気量215ccのエンジンを搭載する。公道は走れず、車両登録もできないクローズドコース専用車だが、本格的なエンジンカートが38万5000円という価格は衝撃的だ。
生産は愛知県の「蒲郡GR KART工房」が担う。小規模な工房で1台ずつ組み上げながら、トヨタ生産方式の考え方で品質を確保し、工程を継続的に改善。原価低減を積み重ね、購入しやすく、長く楽しめる商品に仕立てたという。
所有の負担を減らす工夫も徹底している。ボディは分解せずにノアやヴォクシーへ積めるサイズで、別売りの専用固定具を使えば、普段のファミリーミニバンを運搬車にできる。カートを運ぶためだけにハイエースなどを購入する必要がないのは、ファミリー層にとってかなり大きなメリットだ。
さらに、ダイヤフラム式キャブレター、立てても燃料が漏れにくい給油口、専用のオイルキャッチタンクを採用。ガソリンやエンジンオイルを入れたまま立てて保管できるため、ガレージ内の置き場所も大幅に節約できる。
ペダルはワンタッチでスライドし、ステアリングにもチルト機構を備える。対応身長は135〜185cmと幅広く、1台を子どもから大人まで家族で共有できるのもうれしい。最大15kgのウエイトを積める別売りのウエイトBOXには、レースで使用するトランスポンダーの装着場所も用意された。
整備面ではチェーンに代えてベルト駆動を採用。チェーンオイルで汚れず、オートテンショナーにより張り調整も不要だ。エンジンには自己充電式バッテリーを内蔵し、別体バッテリーの搭載や充電もいらない。燃料を簡単に送れるプライマリポンプも備え、ビギナーが面倒な準備より走ることに集中できる。
安全性にも配慮し、他車がリアタイヤへ乗り上げにくいバンパー、ハブ抜けを防ぐストッパーピン、熱いマフラーへ手が触れにくいシート形状などを採用。安さのために安心を削ったマシンではないのだ。






























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