かつて日本の街を当たり前のように走っていたセダンは、なぜここまで存在感を失ってしまったのか? SUVやミニバンの人気だけでは説明しきれない一方で、欧州や中国では今なおセダンが重要な存在であり続けている。では、日本との違いはどこにあるのか!? クルマの作り方や使われ方まで掘り下げると、セダン衰退の意外な理由が見えてくる!
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部ほか
【画像ギャラリー】Sクラス顔の中国仕様Cクラスロングがコレ! エレガンスグリルCクラス、真剣に日本にほしいぞ!(14枚)画像ギャラリーなぜ日本でセダンは売れなくなった? 欧州・中国との考え方の差
日本ではセダンが売れなくなったと言われて久しい。確かに街を見渡せばSUVとミニバンばかりで、かつてあれほど多く走っていたセダンを見かける機会は少なくなった。では、なぜ日本でセダンは売れなくなったのか。SUVが流行ったから、ミニバンのほうが室内が広いから、というだけでは説明がつかない。
欧州メーカーは今でもセダンを作り続けているし、中国ではむしろセダンの後席性能をさらに高めたモデルが重要な商品になっている。 ここには国産車と欧州車の「セダンというクルマに対する考え方」の違いがあるように思う。
端的に言えば、国産セダンは今でもドライバーズカーなのである。もちろん後席にも人は乗せられる。居住空間も十分確保されている。
しかしクルマを評価するとき、どうしても運転席を基準に考えてしまう傾向がある。エンジンのレスポンスがいい。ステアリングフィールがいい。コーナリング性能が高い。ブレーキがよく効く。そうした運転中心の評価が商品価値の中心に置かれているのだ。少し乱暴な言い方をすれば、後席はおまけだ。
ところが欧州のセダン、とくにプレミアムブランドのクルマに乗ると、考え方が全く違うことに気付かされる。ドライバーだけではなく、後席パッセンジャーも重要視しているのである。それがもっともわかりやすく表れているのがロングホイールベース仕様だ。
後席が重視される!? 3シリーズにもCクラスにもロングがあるワケ
中国市場を見るとBMW3シリーズにもメルセデス・ベンツCクラスにもロングホイールベース仕様が存在する。日本で3シリーズやCクラスといえば、基本的にはオーナー自身がステアリングを握るクルマという認識だろう。BMWなら「駆けぬける歓び」に代表されるスポーティなドライブフィールを期待するし、Cクラスもコンパクトなボディで上級モデルの走りを味わえることが魅力だった。
ところが中国では、このクラスでも後席が重要になる。なぜ3シリーズのホイールベースをわざわざ伸ばす必要があるのか。それは後席に座る人も顧客だからだ。ここには大陸と島国という違いも大きく関係していると思っている。
日本は南北に長い国ではあるものの主要都市間には新幹線があり、さらに飛行機も発達している。東京から大阪へ仕事に行くのに、わざわざクルマで500km走ろうという人は多くない。東京から福岡ならなおさらだ。一方、大陸ではクルマによる長距離移動が日常的に行われる。
ドイツのアウトバーンを走っていてもそれはよくわかる。200km、300kmという距離をクルマで移動することに対する感覚が日本とは違う。中国はさらにスケールが大きい。そうなると、運転している人間だけが快適では成立しない。助手席に座っている人も、後席に座っている人も、数時間そこに居続けなければならないからだ。
















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