それでもなぜMT車を選ぶのか?
現在の日本では極端に少なくなったとはいえ、路上を走るMT車がゼロになったわけではなく、新車購入の際にMT車を選ぶ人もいる。
運転の簡単さとラクさという点では明らかにAT車に分があるのに、どうしてMT車に乗る人がいるのか?
最初に考えられる理由が運転する喜びを感じるため。
MTでスムーズな変速を行うにはある程度以上の技量が要求されるが、困難なものであるからこそ、うまくできたときの満足感は高い。
そしてMTの操作技術が上達してくれば、まるでクルマと一体化したかのような運転感覚が得られる。
さらにブレーキをかけながらエンジン回転数を合わせてシフトダウンするヒール・アンド・トゥなどの高等テクニックを身につければ、それだけでスポーツドライビングの楽しさはアップする。
もちろん、AT車やハンドル裏のパドルで変速操作を行うセミATタイプのクルマをドライブしても楽しさは得られるが、手足のすべてを駆使して操作するMT車の楽しさには代えがたい。
このときにクルマは単なる移動や荷物運搬の手段ではなく、純粋に運転を楽しむための相棒になる。
ただし、一般道を走る場合は道交法の範囲内で楽しむのが鉄則だ。
楽しさではなく、安全のためにMT車を選ぶドライバーも存在する。
交通事故原因のひとつとして、長年問題になっているのがアクセルとブレーキの踏み間違いだ。
ブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでしまい、クルマが急発進してほかのクルマや建造物、そして人に当たってしまうというもの。
高齢ドライバーによる踏み間違い事故が目立つ傾向はあるが、実際、この問題はすべての年齢のドライバーに起きる可能性がある。
その点、左足でクラッチを操作して発進させるためには、アクセルとクラッチの連動操作を行う必要があるMT車では踏み間違い問題は起きにくいとされている。
また、たとえアクセルとブレーキを踏み間違えても、MT車ではクラッチをうまくつなげなければエンストを起こしてクルマは停止するため重大事故にはなりにくい。ただし、クラッチのつなぎ方によっては急発進することもあるので注意が必要だ。
こうした理由から、長年AT車に乗っていても、自身が高齢になったときには安全のためにMT車に乗り換えるという人もいる。
EVの普及や無段変速のCVTを含むAT車の進歩により、今後MT車のシェアはさらに低くなることも予想され、自社のラインナップからMT車を減らすメーカーも少なくない。
しかし、一定以上の年齢のドライバーにとってMT車を運転できるのはひとつのステータスであり、運転そのものを楽しみたいなら、いまあえてMT車をチョイスするのも悪くはない。
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