MT(マニュアルトランスミッション)車に乗っている人は、一般的にクルマ好きが多いと思われる。しかし、そんな人でもMT車のすべてを知っているわけではない。今回は、MT車の整備ポイントや、長持ちさせるための注意点を見ていこう。
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、日産、マツダ、写真AC、Adobe Stock/アイキャッチ画像:Home-stock@Adobe Stock
【画像ギャラリー】その不調 MTの寿命じゃないかも!?(12枚)画像ギャラリーMT車はどこが劣化&疲労してくるのか?
MT、AT(オートマチックトランスミッション)に関係なく、機械であるクルマは走行するに従って各部が摩耗や劣化を起こす。
これは仕方のないことで、永遠に新品時のコンディションを保つ機械は存在しない。
とはいえ、機械の構造が違えば摩耗や劣化する箇所も変化するため、チェックやメンテナンスするポイントは構造別に考える必要がある。
今回のテーマはMT車なので、MT車に絞って問題点を確認し、それに対処する方法も考えていく。
次項から、MT車に現れた症状別にその理由や対応策を解説する。
ギアの“入り”がスムーズじゃない
多くのMT車はHパターンと呼ばれる変速(ギアチェンジ)用のシフトレバーを装備していて、通常であれば、このレバーを動かすことでスムーズに変速が行える。
しかし、以前に比べるとスムーズにシフトチェンジできなくなったと感じてはいないだろうか?
この問題は、複数のギアが組み合わされたトランスミッションに起因することが多い。
最初に考えられる原因はトランスミッションオイルの劣化だ。
ギアを円滑に回すためにオイルでの潤滑は欠かせないが、このオイルは長期間使用していると、摩耗したギアの金属粉の混入や化学的な変化によって劣化し、本来の潤滑性能が失われていく。
そのため、トランスミッションオイルは定期的な交換が必要になる。
交換サイクルの目安は走行距離2万~5万kmといわれているが、距離の幅が広いことから想像できるように、使用状況によって劣化の進行速度も変化する。
シフトチェンジをしていて違和感を覚えたのなら、たとえ前回のミッションオイル交換から2万km未満だったとしても、オイルの劣化を疑ってみるとよい。
オイル交換を行っても症状が改善されない場合、残念ながらギアの摩耗とその交換を考えることになるが、シンクロ(ギア同士の回転を合わせてから変速する)機構の不調やシフトリンケージの不具合という可能性もある。
ここは専門業者にチェックしてもらい、必要な対策を行うのが賢明だ。
【画像ギャラリー】その不調 MTの寿命じゃないかも!?(12枚)画像ギャラリーアクセルを踏んでも加速が鈍い
ATや、最近普及が進んでいるCVT(無段階変速機構)とは違い、アクセルを踏んだ際に力強く加速してくれるのもMT車の魅力。
しかし、アクセルを踏んでエンジン回転数が上がっているのに、加速がそれに伴わないという症状が現れてしまった。
こんなトラブルはクラッチ回りが原因になっているケースが少なくない。
クラッチ板の摩擦によって駆動力を伝達するクラッチでは、クラッチの摩耗が進行すると“滑り”が発生しやすくなって加速性能が低下する。
もちろん、多少の滑りがあるから半クラ(半クラッチ=クラッチを滑らせながら駆動力を徐々に伝える操作)が可能になり、スムーズに走らせることができるのだが、あまりに滑りが多くなるとロスも増えてしまう。
摩擦を利用した機構だけに、使用するに従ってクラッチ板の摩耗が進むのは避けられず、一定以上に摩耗が進行した場合は新品に交換しなくてはならない。
クラッチ交換の目安は走行距離10万kmといわれているものの、これもまた走行状況や運転の仕方などで大きく変化する。
クラッチを長持ちさせたいのであれば、日頃から「必要以上に半クラを使わない」「半クラを使う場合でも短時間ですませる」「クラッチペダルに足を乗せたまま走行しない」などの工夫が必要になる。
たいていの場合、シフトチェンジがスムーズに行えるドライバーのクルマはクラッチの摩耗も進みにくいので、日常から無理のない変速を心がけたい。















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