日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した2020年6月の販売台数で、トヨタ「ライズ」が「ヤリス」を逆転し、1位になった。しかし、ここまで売れているライズでも、これから盤石といえるのだろうか。
2020年6月に登場した日産「キックス」、そしてこれから登場する身内の「ヤリスクロス」などライバルは多い状況だ。コンパクトSUV市場で、ライズは好調を維持できるのか? その人気のワケと、今後の動きを渡辺陽一郎氏が考察していく。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、NISSAN、編集部
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■登場時から好調のライズ それに引っ張られロッキーも伸びる
2020年6月の販売ランキングを見ると、コンパクトSUVのトヨタ「ライズ」が小型/普通車の1位になった。軽自動車まで含めた総合順位は、1位:ホンダ「N-BOX」、2位:スズキ「スペーシア」、3位:ダイハツ「タント」だから、ライズは4位だが、小型/普通車に限ると、トヨタ「ヤリス」「カローラシリーズ」、ホンダ「フィット」を上まわった。
ライズは、ダイハツが開発と製造を行う「ロッキー」をベースにしたOEM車で、2019年11月に発売された。2020年1月と2月には、ライズが小型/普通車の登録台数1位になっている。
その後、3月はカローラシリーズ、4月と5月はヤリスが1位だったが、6月にライズが再びトップに立った。そのために2020年上半期(1~6月)の小型/普通車販売ランキングでも、ライズが1位になる。
最近の登録台数(軽自動車は届け出台数)で注意したいのは、コロナ禍の影響だ。小型/普通車と軽自動車を合計した国内販売総数は、2020年4月が対前年比で29%減った。5月も45%、6月も23%のマイナスになる。
この状況では、今の登録台数が本来の人気を反映しているとは限らない。ライズが売れ筋車種であることは確かだが、そのニーズがヤリス、カローラシリーズ、フィットよりも絶対的に高いとはいい切れない。
ただしそのいっぽうで、トヨタの販売店は次のように述べている。
「ライズの人気は高い。コロナ禍による落ち込みも小さく、2020年7月中旬に契約を頂いても、納車は11月上旬だ。つまり納期が約4カ月を要する。プリウスやヴォクシーなど、いろいろな車種のお客様がライズに乗り替えて、発売から半年以上を経過するのに受注が下がらない」
姉妹車のロッキーを扱うダイハツの販売店でも人気動向を尋ねた。
「ダイハツは軽自動車を中心に扱うので小型車の売れ行きは少ない。小型車は主にトヨタがOEM車を販売してきた。ところが、ロッキーはTV・CMを活発に放送した効果もあり、ダイハツの小型車では好調に売れている。トールやブーンを大きく上まわる。納期も長く、2020年7月中旬に契約をいただいても納車は9月中旬だ。納期は2カ月だが、工場がライズの生産に追われて、さらに伸びる傾向にある」
つまりライズ、ロッキーともにフル生産している状態だ。ライズは2020年1~3月と6月に、1万台から1万2000台を登録したが、これが上限の台数だろう。今でも納期は4か月だから、今後も高人気を保つ可能性が高い。
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