FA20型は優位性多数ながらまだ負けている部分も
最新のWRX STIに積んでいるEJ20型DOHCターボは、最高のパフォーマンスを発揮するために、割り切れる部分は割り切り、高性能を徹底的に追求した。
燃費はFA20型に遠く及ばないし、排ガスも規制値ギリギリだ。扱いやすさや静粛性などにも不満が出る。
EJ20型DOHCターボは、典型的な20世紀のエンジンだ。高性能至上主義を貫き、環境対応はそれなりと割り切った。
ボアとストロークがスクエア設計のFA20型直噴DOHCターボは、地球環境に配慮した新世代の水平対向エンジンである。冷寒時から熱が入りやすく、燃焼効率もいいから排ガスはクリーンだ。
また、実用燃費も悪くない。排ガス規制が厳しくなっても、まだ伸びしろがあるエンジンなのである。
弱点は、EJ20型エンジンより高回転まで回らないことだ。また、軽量化を徹底し、ぜい肉をそぎ取ったエンジンだから、チューニングに耐えられない可能性もある。
これはトランスミッションにも言えることだ。モータースポーツで使うことを考えると不安材料になる。高回転まで回したときのエンジンサウンドが官能的じゃない。これもボクサーマニアは不満だろう。
『高回転まで回せるエンジンへ』変貌しつつあるFA20型
が、最新のFA20型直噴DOHCターボエンジンは、バルブスプリングなどを強化して高回転まで回せるように改良している。バルブスプリングなどを強化したことにより、レブリミットは6500回転になった。
BRZは自然吸気のFA20型エンジンだが、こちらは7000回転まで使いきれるエンジンへと進化している。徐々に高回転まで回せるエンジンに変身しつつあるのだ。
パワーとトルクを上げるためにパーツなどの強化を精力的に行い、冷却にも知恵を絞るだろう。遠からず最高出力、最大トルクともEJ20型エンジンを上回るはずである。
気持ちいい加速に磨きがかけられれば、ドライバビリティは悪くないからサーキットでタイムを縮められるはずだ。実用燃費と快適性能も良好だからロングドライブもラクになる。
モータースポーツは時間をかけてFA20型直噴ターボエンジンを熟成していくだろう。しばらくは参加するカテゴリーによってEJ20型エンジンと使い分けるはずだ。
ここ数年、ヨーロッパの2Lターボエンジンは一気にレベルを上げている。FA20型の水平対向4気筒ターボも、クリーンでパワフル、そして上質なエンジンに育てて欲しいと願う。
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