■自動車保険の保険料はどのように決められるのか
自動車保険の保険料については、損害保険協会が車両毎の料率や保険契約者の等級という制度を統一している。これは保険料算定の基準となっているだけでなく、ドライバーが損保会社を乗り換えても、これまでの実績を保険料に反映してもらえる。
同じドライバーや車種でも保険料は損害保険会社によって微妙に(あるいは大幅に)異なる。それは、保険会社毎にそのドライバーが運転することのリスクに対して異なる判断をしているからだ。それだけでなく、前述のように自社に都合がいい契約者を集めるために意図的な価格設定をしているところもある。
極端な話、保険会社としては、保険金の支払いリスクが低い契約者だけを安い保険料で集めたほうが儲かる。リスクの高い契約者は、その分高い保険料を払うことになるのだから、そっちのほうが儲かるのでは? という風に思う人もいるかも知れないが、やはりリスクが大きい契約は保険金の支払いも多くなり、長い目で見ると経営を不安定にしてしまうことになるのだ。
話を保険料の高騰問題に戻そう。高齢ドライバーの保険料高騰は、我々にとっても決して他人事ではない。自分の親や親類が高齢ドライバーとなって、交通事故を起こしたとすれば、保険会社によって手厚い補償をしてもらいたいと思うだろうし、自分もやがて高齢者になることは確実だからだ。それに高齢者だけ自動車保険の保険料が跳ね上がれば、無保険状態で走行する高齢ドライバーが増えてしまうことにもなりかねない。
そういった意味では自動車保険は、同じ保険金額までカバーする保険なら保険料が安いほどいいというモノではなく、万が一自動車保険の保険金支払を受ける必要が出てきた時に、スムーズに相手との交渉を行なってくれて、納得のいく保険金の支払をしてくれるような選択をしたいものだ。
そのためには保険会社選びだけでなく、保険会社と契約者の間に入ってサポートしてくれる保険代理店を上手く活用するのも賢い方法なのだ。
高齢者の事故が目立っているが、先の道交法改正でサポカーに運転を限定する免許証も新設された。免許の更新頻度の見直し(現在は75歳以上は3年毎に更新)など、様々な制度の改善を進めるとともに、クルマの運転支援システムで運転ミスをカバーする領域も高まっていく方向にある。
高齢化が進むということは、高齢者が一般的になるということでもある。高齢ドライバーから免許を取り上げることは簡単だが、高齢者が経済活動の一端を担わなくなれば、国内の景気はさらに冷え込むことになる。運転免許を持つ高齢者は、認知機能や身体能力を維持する努力をしつつ、運転を続けてもらうことも社会的には大事なことなのだ。
自動車保険はクルマ社会を支える補償制度のひとつ。損害保険会社とドライバーが一緒になって、安心してクルマを運転できる環境を維持していきたいものだ。
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