いすゞからOEM供給も知名度ゼロ!? スバル版ビッグホーンの不遇【偉大な生産終了車】

■ほかにもっとやりようがあった!? スバル版が名前すら変えなかった理由

 いすゞ版ではなくスバル版のビッグホーンがあえなく販売終了となった理由。

 それは言うまでもなく、前段で申し上げた「1993年にOEM契約が解消となったから」なのですが、そもそもの本質的な理由は「スバル側にあまり売る気がなかったから」ということなのでしょう。

 開発予算を抑えつつ車種ラインナップを広げるため、他社からOEM供給してもらった車を売るというのはよくある話です。

 ビッグホーンにおいても、スバルだけでなくホンダが「ホライゾン」という車名でOEM供給版を販売しましたし、シボレーやオペルなどのGM版もありました。

 しかし、例えばホンダのそれはフロントグリルのデザインを変えていましたし、ホライゾン専用のボディカラーも用意されていました。

 そして当然、車名もビッグホーンからホライゾンへと変更しています。

 ですがスバル版のビッグホーンは、ブランドのエンブレムをいすゞからスバルのものに張り替えただけで、そもそもの車名すら「ビッグホーン」のままという脱力ぶりでした。

スバル 2代目ビッグホーン ハンドリング by ロータス・ロング(1992年)
スバル 2代目ビッグホーン ハンドリング by ロータス・ロング(1992年)

 ちなみにOEM供給車の長い歴史のなかでも「車名も変えずにとりあえず販売した」という事例は、このスバル ビッグホーンとトヨタ コペン(GRスポーツ)ぐらいではないでしょうか?

 それはさておき、そのような脱力系のOEMクロカン四駆をわざわざスバルディーラーで買うユーザー層とは、果たしてどんな人だったかというと……正直よくわかりません。

 想像としては、「大のスバル党、または諸事情により車は絶対にスバルディーラーで買う必要がある人」で、なおかつ「そのときたまたま『……なんとなくクロカン四駆に買い替えたいなぁ』と思っている人」でしょうか?

 ……そういった人も、もちろん世の中にはいらっしゃったでしょうが、かなりの少数派であることは明らかです。そして少数ですから、当然あまり数は売れませんし、商売も成り立ちません。

 ということでスバル版のビッグホーンは物事の当然の帰結として、とっとと世の中から消えていくことになりました。

 なぜ、当時のスバルの上層部がこのプロジェクトを行おうと思ったのか? 最終的な赤字額はどのぐらいだったのか? というのは筆者は知りませんが、まぁ赤字は大したことはなかったのかもしれません。

 なにせ、エンブレムを付け替えただけの車でしたから……!

■スバル ビッグホーン 主要諸元
・全長×全幅×全高:4660mm×1745mm×1840mm
・ホイールベース:2760mm
・車重:2010kg
・エンジン:直列4気筒ICディーゼルターボ、3059cc
・最高出力:125ps/3600rpm
・最大トルク:28.0kgm/2000rpm
・燃費:――
・価格:296万3000円(1992年式 ロング ハンドリングbyロータス 5MT)

【画像ギャラリー】歴史的名モデルをOEM供給 スバル版ビッグホーンをギャラリーでチェック!!!

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