■マツダベリーサ 2004年発売
◎よかったところ
2代目デミオをベースに開発された上級指向のコンパクトカーで、「小さな高級車」の雰囲気を感じさせた。女性ユーザーをターゲットに開発され、内外装をシックな雰囲気に仕上げている。収納ボックスの内部に化粧用の鏡を備えるなど、女性に対する気配りも特徴だった。インパネやシートはシックな雰囲気に仕上げている。
また2代目デミオがベースだから天井が高めに設定されて後席の頭上と足元の空間も広く、ファミリーカーとしても快適に使えた。
◎生産中止になった理由
クルマの基本スタイルは、2代目デミオがベースとあって、空間効率の優れたコンパクトカーだった。後席も広くファミリーカーとして使いやすい。それなのに開発コンセプトは女性がターゲットにされ、価格は少し高い。車両のコーディネーションと機能が噛み合わず、結局は魅力の分かりにくい商品になってしまった。女性向けにするなら、ボディスタイルに特徴を持たせる必要があった。
■スバルR1 2005年発売
◎よかったところ
スバルは2003年に5ドアハッチバックの軽自動車としてR2を発売した。このプラットフォームを使って、2005年に発売されたユニークな3ドアハッチバックがR1であった。
軽自動車のボディサイズは規格枠ギリギリで造られるが、R1は110mm短い3285mmだ。ホイールベースも短く、切れの良い機敏な運転感覚と優れた安定性を両立させた。内装はR2に準じるデザインだったが、上質に造り込まれ、クルマ好きの間で話題になった。
◎生産中止になった理由
2003年から2005年の時点で、軽自動車の売れ筋は全高が1600mmを超える背の高い車種になっていた。そのためにR2、さらにR1の売れ行きは伸び悩んだ。R1は前述のようにクルマ好きの間で話題になったが、クルマの好きな人達が購入するのはインプレッサやレガシィで、軽自動車ではない。R1はいかにもスバルらしい走りの良い上質な軽自動車だったが、売れ行きは伸び悩み、スバルは2006年に背の高いステラを発売した。
■ホンダアヴァンシア 1999年発売
◎よかったところ
アヴァンシアはLサイズの5ドアハッチバックだ。全長が4700mm、全幅が1790mmの大柄なボディに、2列のシートと荷室を備える。
注目されたのは後席の広さで、全高が1500mm、ホイールベースは2765mmに達するため、頭上と足元には十分な余裕がある。開発コンセプトは「リムジン空間の創造」とされ、後席の中央にはアームレストやコンパクトなテーブルも内蔵した。大人4名が乗車して、快適な長距離ドライブを満喫できた。
◎生産中止になった理由
アヴァンシアが発売された時代には、ミニバンが人気を集めていた。実際に使うか否かは別にして、3列のシートが装着され、多人数が乗車できることが必要だった。従ってホイールベースをミニバン並みに長く設定しながら、シートの配列が2列となるアヴァンシアは、売れ行きが伸び悩んだ。
またアヴァンシアは2列シート車の割にボディが重く、車両重量は1500kgを軽く超えていた。そのために2.3Lエンジン搭載車の10・15モード燃費が12km/Lを下まわるなど、燃料の消費量が多いことも人気を低迷させた。
■トヨタナディア 1998年発売
◎よかったところ
イプサムのプラットフォームを使った2列シート車で、外観のデザインに特徴があった。リヤゲートの角度を寝かせることで、ボンネットからルーフ、ボディの後端まで、円弧を描くような滑らかなラインで繋げられている。
車内にも特徴があり、後席は反転させて畳むことで、フラットで広い荷室に変更できた。前席は180度回転して、駐車中には車内をリビングスペースのようにアレンジできる。2列シートで車内が広く、多彩な荷室のアレンジを可能にしていた。
◎生産中止になった理由
「車内が広いのにシートは2列」という造りは、当時のユーザーニーズには合わなかった。前席を回転させて後席と向き合わせるアレンジも、便利とはいえず、通常の配置に比べると足元空間が狭くなってしまう。さらに後席に反転して畳める機能を持たせたことで、背もたれの高さが足りず、背中の支え方に違和感が伴った。
そしてナディアの発売は1998年8月だったが、2000年5月には同じような特徴を備えたオーパが同じトヨタから発売され、ナディアは一層苦戦を強いられた。販売店はナディアがトヨタカローラ店、オーパがトヨペット店で、値引きなどの競争も発生した。
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