不正はけしからん!! でもスバルは本当に悪いと言い切れるのか?


■スバルの今後はいかに進むべきか、そして信頼は損なわれたか?

 もちろん、スバル側にも多くの問題がある。最もまずいのは完成検査員の印章を無資格者が代わりに押していたこと。

 大崎品質保証本部長は「責任感を持たせるためだった」と言うが、さすがにその理屈には無理がある。印章の押印は完成検査各項目の最終承認を意味するだけに、そこまで無資格者に任せていた責任は重い。

 また、そもそも完成検査には「あらかじめ指名された者」しか従事できないという明確な規程があるなかで、そうではない者が行っていたというのは、理由はどうあれ、やはり根本的に間違っている。

 その点に関し、「これがまずいことだと認識しないままずっとやってきた。弊社の歴史上続いているというだけで根拠がなかった」と吉永社長も過ちを認めており、「トップの責任を感じている。スバルはまだ本当の実力がついていないと強く思っている」と忸怩たる思いを吐露する。

 また、スバルには「暗黙知」や「あ・うんの呼吸」で社内が回っていく文化があり、それがよかった時代もあったが、近年、会社がグローバライズされていくなかでマニュアルや契約ごとを重視する〝今の時代の企業〟になりきれていない部分もあるという。

 それも含めて「企業としての実力がついていない」と痛感しているとのことだ。

 では今後どうするかだが、完成検査員の教育方法も含め、システムをすべて白紙に戻して再検討する。この原稿を書いている時点では、まだ具体的な再発防止策は発表していないが、制度を明文化し、社内からも社外からもやっていることがわかりやすい透明化された制度を構築していくという。

 また、1回目の車検を迎えていないクルマ、12車種、25万5000台のリコールを届け出る予定で、そこにはスバルで生産しているトヨタ86も含まれる。かかる費用は50億円余りを見込んでおり、その金額もさることながら、ユーザーと販売店の負担も大きい。

 法令違反があったことは確かなのだから「不祥事」と表現されるのはしかたないだろう。事象の捉え方は人それぞれだ。

 しかし、記者たちの質問が尽きるまで行った2時間20分の会見を聞いていて思ったのは、今回の件は完成検査を重視し、その人材を育てるための教育プロセスを大事にしすぎていたのが最大の理由。

 そこに間違いはあったが悪意はなく、信頼を損なうものではないということだ。これをきっかけにスバルはまた新たな一歩を踏み出してほしい。私はこの件に関して、スバルをことさらに責める必要はないと感じている。

制度を遵守しなかったスバルの責任は重い。今後はスバル社内の問題もクリアしていくことが重要だ
制度に問題があるとはいえ、それを遵守しなかったスバルの責任は重い。今後はスバル社内の問題もクリアしていくことが重要だ