各メーカーの現行ベストエンジン車を、ターボ・NAそれぞれで選出する本企画。先日の日産編、ホンダ編、マツダ編に続いて今回はスズキ編。
スズキといえば「軽」、「実用派」というイメージが強いものの、軽自動車に搭載されるエンジンは望外に力強い走りを披露する。
スイフトスポーツでは新たにターボエンジンを搭載するなど、庶民の手が届く範囲で魅力的なエンジンを持つ、スズキのベストをみていこう。
文:斎藤聡/写真:SUZUKI、編集部
ベストNAエンジンはスイフトRSの1.2L
改めてスズキのラインアップを眺めてみると、ハイブリッドやマイルドハイブリッドを搭載した車が多くなっているのに驚かされる。ワゴンR、スペーシア、ハスラー、ラパン、アルト、スイフト、イグニス、ソリオ……。
大半のモデルにハイブリッドやマイルドハイブリッドが用意されている。スズキというメーカーは、大衆車の中核となる軽自動車とコンパクトカーを担うメーカーだから、当然といえば当然なのだが、静かに電気の波が寄せてきているのを実感させられる。
とはいえ魅力的なNA/ターボエンジンも、もちろんある。NAエンジンについては、先代スイフトスポーツが搭載していた1.6L、DOHCがよかった。
現在は刺激的といえるほど個性的なエンジンは見当たらないが、1.2LのK12C型直4エンジンは、かなりよいエンジンだと思う。
低回転域のトルクがあって、グイグイ元気に走ってくれる。エンジンをぶん回しても速さがそれほど変わらないのがちょっと残念だが、言いかえるとそれはトルクが低中回転からしっかり出ているからだ。
マニア向けのエンジンではないが、使いやすく誰が走らせても楽しいエンジンだ。
このエンジンはスズキの主軸エンジンのひとつで、広くいろんな車種に展開しているが、一応スイフトRS、5速MTをイチ押しの車種として挙げておきたい。
■K12C型【スイフトRS】
・形式:直4DOHC
・排気量:1242cc
・最高出力:91ps/6000rpm
・最大トルク:12.0kgm/4400rpm
ベストターボはスイフトスポーツの1.4L
ターボは少し前までアルトワークスが1位だったが、スイフトスポーツがターボを搭載して登場したことで、その座に君臨した。
この1.4Lの直噴ターボは、ターボの効きがよく、アクセルを踏んだ瞬間、即ターボパワー炸裂といった感じで、やたらとトルクが充実している。
直噴エンジンは圧縮比が高めなのにノッキングが起こりにくく、ターボとの相性がいい。それに加えてターボの過給圧制御を行うウエストゲートバルブを圧力が過剰になるまで開かないように制御したことで、レスポンスがよく、トルクフルな出力特性になったのだ。
いままでのスイフトスポーツのような、NAエンジンならではのリニアなパワー特性とは異なり、強力なターボエンジンなので、スイフトスポーツのイメージがガラリと変わってしまったが、痛快な加速性能はかつての名車カルタスGT-iをしのぎ、スズキの乗用車史上、最強のエンジンといっていいだろう。
クロスした6速MTをシフトタイミングを選びながら走らせてやることで、レスポンスのよさが作り出す瞬発力や、ターボの伸びを生かした走りが自在にできる。
■K14C型【スイフトスポーツ】
・形式:直4DOHCターボ
・排気量:1371cc
・最高出力:140ps/5500rpm
・最大トルク:23.4kgm/2500-3500rpm
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