残るトップ3はシンプルなシステムながら優秀
2位はスズキ イグニスで、4WDはビスカスカップリング式だが、安定性を高める機能が豊富だ。
悪路でホイールが空転した時、4輪を独立ブレーキングして空転を抑える「グリップコントロール」などを備える。最低地上高も180mmを確保したから、雪道やデコボコのある悪路も走りやすい。
3位はヴィッツで、電子制御カップリングを搭載する。「アクティブコントロール4WD」と呼ばれ、スイッチ操作によって2WDと4WDオートを選ぶことが可能だ。
4WDオートでは路面状況に応じて多板クラッチが制御され、最適な駆動力を前後輪に伝える。
また、2WDを選ぶと後輪の駆動に伴う動力性能の伝達ロスが抑えられ、燃費を節約できる。
フィットやパッソはビスカスカップリング式で、コンパクトカーの4WDとしてはオーソドックスなタイプだ。
ユニークなのはマーチやノートが搭載するモーターアシスト方式の4WDだろう。後輪にモーターを装着して4輪駆動とした。
ただし、モーターの出力が小さく作動速度の上限も30km/h程度だから、悪路の走破力は低い。後輪に駆動力を伝えるプロペラシャフトが省かれて居住性を損なわず、燃費の悪化を抑えられることなどがメリットだ。
『軽量、低価格、シンプル』軽4WDで抜きんでるのは?
いっぽう、軽自動車の4WDは、ジムニーなどを除くと前輪の空転を受けて後輪にも駆動力を伝える方式になる。前述のように軽量で低価格にする必要があり、4WDの機能もシンプルだ。
従って車種ごとの差があまり開かないが、ハスラーとキャストアクティバは有利になる。
悪路で空転を生じたホイールをすばやくブレーキングして、駆動力の伝達効率を高める走行モードを設け、滑りやすい急斜面を下る時、車両が自動的に4輪を独立ブレーキングし、安定して走破できる機能も備わる。
最低地上高は両車ともに180mm前後だから、ほかの軽自動車を30mmほど上回る。
定番軽も4WD進化! 特筆はワゴンR
ホンダのNシリーズ、スズキ ワゴンRなどの4WDも、以前に比べると制御が向上した。基本的には前輪の空転を受けて後輪に駆動力を伝えるが、雪道での急な坂道発進などを除くと、4WDになるまでの時間差が気にならなくなった。
特にワゴンRはボディが軽く、エンジンは実用回転域の駆動力が比較的高いから、滑りやすい路面でも運転しやすい。カーブを曲がる時の腰高感も抑えられ、雪道の走りでも不安が少ない。
軽の走破性にはエンジンも関係
エンジンの排気量が小さい軽自動車では、車両重量が増える4WDにはターボが効果的だが、アクセル操作には気を遣う。アクセルペダルを踏み増した時、唐突に駆動力が高まる傾向があると、滑りやすい路面では安定性を阻害するからだ。
この点でホンダNシリーズのターボは、低回転域から過給効果が発揮され、運転がしやすく安定性も満足できる。走破力は4WDだけでなく、車両全体で考える必要がある。
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