4WDといえば、SUVを始め「悪路に強い車」のイメージが強い。では、比較的安価なコンパクトカーや軽の4WD性能はどうか?
多くの人々が乗る車だけに、雪道などでの「安心感」に4WD性能は大きく影響する。そこで、比較的価格の安い4WDで性能が優れる車をみていきたい。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
ベストカー2017年12月26日号
軽&コンパクトの4WDは「シンプルさと高効率」が肝
舗装路で4輪を駆動するには、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節する機能が必要だ。
現在は大半の車種が電子制御される多板クラッチ、あるいはシリコンオイルとプレートで構成されるビスカスカップリングによって前後輪に駆動力を振り分けている。
特に軽自動車では低燃費と低価格が重要だ。4WDの装着に伴う車両重量の増加を50~70㎏に抑え、価格上昇も10万~13万円にとどめねばならない。
4WDの機能にはシンプルさと高効率が求められる。コンパクトカーでは4WDの価格が15万~20万円になるが、25万円を超える上級カテゴリーよりは低価格だ。
「緻密に」後輪を駆動させるデミオの4WD
コンパクトカーで最上位に位置するのはマツダ デミオだ。通常は前輪駆動に近い状態で走り、必要に応じて電子制御カップリングにより後輪に駆動力を配分するが、路面の状態や天候の検知を綿密に行う。
例えばエンジンを始動させた後、ドライバーが少しでもハンドルを動かせば、ステアリングに加わる抵抗によって路面状態を検知する。
滑りやすい路面と判断すれば、電子制御カップリング内部のクラッチを強く締結させるワケだ。このほか外気温度から前後ワイパーの作動まで、さまざまな情報をベースに周囲の環境を把握して、4WDを制御する。
今の車は横滑り防止装置などと併せ、数多くのセンサーを備える。そこから得られる情報を有効活用すれば、さほどコストを費やさず、車両を綿密に制御することが可能だ。デミオの4WDはこの点に着目して機能を高めた。
デミオが採用する4WDの特徴を明確に感じるのは、積雪路面における坂道発進だ。ビスカスカップリング式などは、前輪が空転を生じたことで後輪にも駆動力を伝えるから、瞬間的とはいえ空転は避けられない。
しかし、デミオは路面状態を先読みするから、雪道の登り坂でハンドルを回した状態で発進しても空転を生じにくい。安定性がかなり高い。
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