■期待高かったフォレスター&インプレッサもコンセプトカーの面影は希薄
スバルのデザイン革命に対する期待がしぼみかけた2015年10月、東京モーターショーで公開されたのが「VIZIVフューチャーコンセプト」だ。これが次期フォレスターになると聞いて、我々は再び「おおっ!」となった。
それは、非常に現実的でありながら、きっちりと筋肉体操感のあるカッコいいデザインだったのである。「これなら市販モデルもイケるかも!」と思えた。
ところが、実際に登場した新型フォレスター(2018年発表)は、先代のマイナーチェンジもどきにしか見えなかった。テールランプなど無意味な装飾的グラフィックも目立ち、むしろ改悪か? という面も。
いや、そんなに悪いデザインではないけれど、そんなにカッコよくもない。少なくともVIZIVフューチャーコンセプトの面影はほとんど残っていなかった。騙されたー!
同時に発表された「インプレッサ5ドアコンセプト」は、VIZIVフューチャーコンセプトよりさらに現実的で、これはさすがにほぼこのまま出るんだろうと思ったが、2016年登場の5代目インプレッサスポーツは、アウディもどきのエッジを立てて若干シャープではあるものの、割とフツーなハッチバックだった。
これまた決して悪くはないけれど、決してそんなに良くもない。
このインプレッサスポーツをベースにしたXVはカッコよかったので、デザインの素性が悪くなかったことは間違いないが、いざ市販化となると、スバルのデザイン革命はどうも手が鈍るようだった。
■洗礼払拭!? コンセプトカーを色濃く引き継いだ新型レヴォーグのデザイン革命
スバルのデザイン革命に対する期待が、「大失敗はないけれど、大成功もない」というあたりに集約されつつあった2018年。スバルは性懲りもなく、「VIZIVツアラーコンセプト」を発表した。つまり次期レヴォーグのタネである。
それは、一連のVIZIVデザインの系譜にあり、既視感が強かった。このまま出ればいいけれど、どうせ出ないんだろうし。
ところが、今年公開された新型レヴォーグは、VIZIVツアラーコンセプトにかなり近い印象を保っていた!
インプレッサスポーツとの違いは、フォルムよりもバネル面のラインやエッジの鋭さにある。つまり表面的な化粧の部分だ。
インプレッサスポーツやXVも、バランスは決して悪くない。ただ、特にインプレッサスポーツに関しては、メイクが田舎娘っぽく、どこか野暮ったいイメージになっている。
ところがレヴォーグは、特にフロントフェイスのシャープさが、コンセプトモデルに極めて近い。ヘッドライト内側の切れ込みを見ても、インプレッサスポーツは「カッコよさげに小細工してみました」なのに対して、レヴォーグのそれはグリルの端のエッジがグイッと食い込んでおり、精悍さが違う。つまりメイクにキレがある。
人もクルマも、見た目の印象は結構微妙な部分で決まる。新型レヴォーグは、左門豊作ではなく花形満になって登場した。
フォルムをワイド&ローにすれば、カッコよくなって当然。しかし市販化にあたっては、どうしたってサイズの制約はある。だからコンセプトモデルのカッコよさを保つためには、細部のキレが非常に重要なのである。
スバルのデザイン部門は、デザイン革命を市販モデルに落とし込むコツを、会得しつつあるかもしれない。
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