普及するのは20XX年?? 電気自動車の夜明けと最重要課題


■取り組むべき「課題」は現場にあり

集合住宅の場合、電気料金の契約がネックになる。自宅の配電盤と別経路で配線をすると、新たに契約を結ばなければならない

 また、電気料金の契約が、一軒につき一契約を基本とするため、自宅の部屋と別の駐車場にコンセントを設置した場合、その電気料金を毎月の電気代に上乗せできるかどうかが難しい。

 つまり、自宅の配電盤と別経路で電気配線を行うと、そこに別契約の必要が生じるためだ。デジタルの時代に、電気設備においてはなんと旧態然とした仕組みが残っているのだろう。

 EVの充電に限ってもいい、スマートフォンなどで簡単に電気料金決済ができるなどの仕組みが考えられていいのではないか。

スマホ時代にふさわしい契約システムを導入すれば、EVを購入するうえでのハードルはグッと下がる

 また、EV用のコンセントであれば、管理組合の合意を得なくても集合住宅の駐車場にコンセントを設置できるような特例措置などを政府や行政が推進すべきである。減税や補助金の前に、取り組むべき課題が現場にある。まさに、現場・現物・現実を見なければ、脱炭素社会など実現できないのである。

 脱炭素とは、クルマに限らずそれほど容易ではないのだ。なぜなら、価値観や生活実感の転換を求めるからである。18世紀の石炭の利用から、20世紀に繁栄した石油の時代の経験を通じて実現できる社会ではないのである。

■EVの普及には制度や仕組みを根本から変える必要がある

 EVのための電力はもちろん、家庭電化製品においてもエネルギーの基幹となる電力全般も、脱炭素を行うには、再生可能エネルギーの導入はもちろんだが、原子力発電の再認識と、導入へ向けた理解が得られなければ、しょせん絵に描いた餅となる。ここでも、日本は海外に後れをとることになる。

 東日本大震災で被災した福島第一原子力発電所の事故は、甚大な被害と大きな教訓を残した。その事故原因は、地震ではなく、地震によって起きた津波による。なおかつ、安全運転のためバックアップで重要な冷却水を確保すべきポンプの設置場所が海側にあったなど、システム設計の不備や管理の見落としにより被害を甚大化させた。

 なおかつ、福島第一原子力発電所の原発は、1950~1960年代の初期型であり、もっとも古い方式だ。

 クルマでいえば、1950~60年代の性能であって、排ガス対策もなく、エアバッグもなく、衝撃吸収ボディでもなかった。そうした旧いクルマが事故を起こしたからと、クルマ社会を止めようと論じているのと同じ状況になっているのである。マスメディアの論調も同じだ。

 世界に普及している原子力発電は、その旧い方式の改良型でしかなく、1950~1960年代のクルマをいくら改良しても、排ガス浄化や衝突安全性能などが近年の新車同様にならないのと同じだ。

 エンジンの仕組みや、プラットフォームの刷新、電子制御の導入がなければ、今日の環境性能と安全は手に入らないのである。

 原子力発電も、最新の新世代技術で建造すれば、より安全かつ効率的で原価も安い電力を手に入れられる。それを知らず、60~70年も前の技術で否定するのは、自らの未来を閉じるようなものだ。

 話がそれたが、脱炭素時代を迎えようとするなら、単に減税や補助金を出せば済むのではない。制度や仕組みを根本から変えなければ実現できない。それが21世紀なのだ。EVの普及も、現場・現物・現実を踏まえ、自動車業界や行政が新たな行程を築かなければ、日本は世界の後塵を拝するしかない。

【画像ギャラリー】電気自動車の普及に立ちはだかる課題をチェック

最新号

ベストカー最新号

このSCOOPは見逃せない! 次期型クラウンの姿、判明! ベストカー10月10日号(9/10発売)

特集 2030年 日本クルマ界大予測  地球環境問題、カーボンニュートラルのことを抜きに進んでいけな…

カタログ