ベンツ、BMW、アルファロメオなどの高級車メーカー。これらプレミアムブランドには、そのブランドを象徴するような上級モデルもあるが、コンパクトなエントリーモデルもラインアップする。
その価格差は倍以上開くブランドもあるが、このエントリーモデルでもそれぞれの高級ブランドならではの味わいを楽しむことができるのか? その味わいの満足度は? 8ブランドをチェック!
文:鈴木直也、片岡英明
初出:ベストカー2018年4月10日号
■Aクラスでもベンツらしい味を楽しめる? 【ベンツ Aクラス】
メルセデス初のコンパクトFFとして登場した初代Aクラスは、個性的すぎるサンドイッチフロア構造が特徴。2代目モデルでも基本的にその構造を踏襲した。
最善か無かをスローガンとするメルセデスとしては、無難なゴルフ対抗馬を作りたくなかったのかもしれないが、商業的には大失敗。3代目にしてようやくオーソドックスなFFプラットフォームで再出発となった。
巻き返しを目指す3代目は、メカ的には平凡な代わり過剰なほどバリエーションを拡充。SUVや4ドアクーペはもちろん、A45AMGみたいな超高性能バージョンまで用意されている。
ただ、商品ラインアップは見違えるほど華やかになったものの、ややチープなインテリアや運動性重視のハンドリングなど、どうも存在感が軽くて子供っぽい。
古くからのファンが期待するベンツの持ち味は「熟成された高い完成度」という価値観だと思うが、Aクラスはまだその領域に達しているとは言い難い。
むしろ、Aクラスがライバルとして強く意識するゴルフのほうが、熟成や完成度という形容詞で語られることが多いのは皮肉。
「ベンツらしいベンツ」を望むなら、Aクラスはちょっと違う感じ。Aクラスは、王者ゴルフに挑戦する若く野心的なチャレンジャーというキャラクターなんじゃないかな。
(鈴木直也)
高級ブランド・ベンツを味わえる度…65%
◎A180スタイル
全長:4300mm
全幅:1780mm
全高:1435mm
車両重量:1430kg
エンジン:1.6L直4DOHCターボ(122ps/20.4kgm)
ミッション:7速DCT
JC08モード燃費:17.8km/L
■1シリーズでもBMWらしい味を楽しめる? 【BMW 1シリーズ】
BMWのエントリーモデルたる1シリーズは、間もなくフルモデルチェンジでFF化される。
そういう状況を考えると、「今が最後のチャンス!」とばかり、1シリーズに乗っておきたくなるのがクルマ好きのサガというもの。やはり「駆け抜ける歓び」はFRで味わいたいもんね。
実際、1シリーズの「駆け抜ける歓び」は、兄貴分の3シリーズにも決してヒケを取らない実力派だ。
まっとうなFRモデルとしては今や世界最小クラスのそのボディは、居住性はキツいけれど走り主体に考えればそれはむしろ長所。日本のワインディングには1シリーズこそジャストサイズで、上級モデルほど気負わずに軽快なハンドリングが味わえる。
価格だってBMWとしては割安で、エントリーモデルの118iは300万円チョイで買える。118iの3気筒1.5Lターボじゃ物足りないという人には、価格は倍以上となるけど、望むなら3L直6のM140iだって用意されている。
まったく、なくなるのが惜しいエントリーモデルだよね。
(鈴木直也)
高級ブランド・BMWを味わえる度…90%
◎118iスポーツ
全長:4340mm
全幅:1765mm
全高:1440mm
車両重量:1430kg
エンジン:1.5L直3DOHCターボ(136ps/22.4kgm)
ミッション:8速AT
JC08モード燃費:18.1km/L
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