イヴォークでもレンジローバーらしい味を楽しめる? 【レンジローバー イヴォーク】
レンジローバー一族だが、プラットフォームは廉価モデルのディスカバリー2のものを用いている。が、多くの部品を新設計としているし、快適方向にチューニングしているから上質感は大きく高められた。
ただし、パワーユニットは2Lの直列4気筒ターボだ。V型8気筒やV型6気筒エンジンの設定はない。
デビュー時は明らかにレンジローバーとの差を感じた。だが、きめ細かい改良と熟成により走りの質感も快適性も大きく向上している。
ハンドリングは正確性を増し、気持ちいい走りを楽しめるようになった。レンジローバーも初代と2代目のような大人の味わいは薄れたから、フィーリングの差は縮まっている。
エンジンはパワフルだ。刺激的な加速を味わえるが、パワーの出し方などは荒々しく、ちょっと子供っぽい。9速に進化したATは滑らかだ。
質感や装備を含め、多くの点でレンジローバーの下のモデルという印象を受ける。が、コストパフォーマンスは高く、ボトムのSEは買い得だ。らしさもそれなりに味わえる。
(片岡英明)
高級ブランド・レンジローバーを味わえる度…78%
◎SE
全長:4355mm
全幅:1900mm
全高:1635mm
車両重量:1790kg
エンジン:2L直4DOHCターボ(240ps/34.7kgm)
ミッション:9速AT
JC08モード燃費:10.6km/L
■CT200hでもレクサスらしい味を楽しめる? 【レクサス CT200h】
レクサスのボトムに位置するプレミアムコンパクトだ。ハイブリッド車だけの設定で、4輪独立懸架のサスペンションもリアにダブルウィッシュボーンをおごっている。
デビューしたのは、今から7年前の2011年だ。古参だが、改良に次ぐ改良によって走りの実力は高められている。
スポーティなハンドリングを目指し、操っている感じが強い。また、乗り心地もよくなった。が、プラットフォームを一新した最新のプリウスと比べてしまうとハンドリングは粗さが目立つ。剛性は今一歩だし、足の動きも渋いなど、レクサスクォリティとは程遠い実力にとどまる。
パワートレーンも古臭く感じた。システム出力はプリウスより高いはずなのだが、加速フィールは物足りない。スポーティ方向に振ったサスペンションを生かせるだけのパンチ力がないから味気ないクルマになっている。
ベース車でも価格は400万円に迫るが、パワーシートも装備されない。走りの実力や内装の質感も今一歩など、レクサスらしさは希薄だ。
(片岡英明)
高級ブランド・レクサスを味わえる度…30%
◎CT200h
全長:4355mm
全幅:1765mm
全高:1450mm
車両重量:1380kg
エンジン:1.8L直4DOHC(99ps/14.5kgm)+モーター(82ps+21.1kg)
JC08モード燃費:30.4km/L
■ATSでもキャデラックらしい味を楽しめる? 【キャデラック ATS】
富の象徴といわれたキャデラックは、21世紀を前に大改革を図った。サーキットで開発テストを行うなど、プレミアムスポーツセダンとして新生キャデラックを強くアピールしているのである。
その末っ子がATSだ。BMW3シリーズやベンツのCクラスがライバルで、ボディサイズはインプレッサやアクセラとほとんど変わらない。
パワーユニットはV型6気筒も用意するが、2Lの直列4気筒直噴ターボも設定した。高級車としてのキャデラックを知っているとアレッ、と思うし、やんちゃすぎるとも感じる。
グッとパワーとトルクが盛り上がるパワーフィールは気持ちいいが、上質ムードはちょっと足りない。
ハンドリングはスポーティだ。キレのいいハンドリングで、サーキットを走れるほど実力は高い。が、プレミアムセダンとしては乗り心地に不満を感じる。
キャデラックらしさをどこに置くかによって評価は変わるが、ATSは今までにない走り至上主義のキャデラックだ。新鮮な感覚は魅力と映る。だが、キャデラックのありがたみは薄い。
(片岡英明)
高級ブランド・キャデラックを味わえる度…50%
◎ラグジュアリー
全長:4680mm
全幅:1805mm
全高:1415mm
車両重量:1600kg
エンジン:2L直4DOHCターボ(276ps/40.8kgm)
ミッション:8速AT
JC08モード燃費:-km/L
【番外編】 独立ブランド化DSはシトロエンよりも格上感があるのか?
シトロエンから独立し、’16年に誕生したのが「DS」ブランドだ。シトロエンよりプレミアムな位置づけとし、デザインにも装備にも強いこだわりを見せている。
すぐわかるのはフロントグリルだ。見慣れたダブルシェブロンからDSウイングに変わった。
DSは独立する前も、シトロエンより上級のポジションを与えられている。が、プレミアム感は今一歩だ。フロントグリルが変わっただけではニューブランドだという実感もありがたみもない。
プレミアム感をアピールしているが、パワートレーンやプラットフォームなどもシトロエンと同じだ。多くの人がわかるくらい、デザインとメカニズムを差別化しないかぎりプレミアムブランドとして認められるのは難しいだろう。
[TEXT/片岡英明]
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