プレミオ&アリオン生産終了へ 名門セダンコロナとカリーナの光と影

■日本人を魅了し続けたコロナとカリーナ

 初代カリーナは、年に10万台前後の販売を記録し、時には兄貴分のコロナを打ち負かした。

 これに続く2代目と3代目も、躍動感あふれるルックスを受け継いだ。

 ちなみに3代目はコロナとメカニズムを共有し、スポーティな走りに磨きをかけている。また、ワゴンの「サーフ」も新鮮さをアピールした。

トヨタ 3代目カリーナ(1981~1988年)。シャシーはセリカからコロナへチェンジ。最後のFRカリーナだ
トヨタ 3代目カリーナ(1981~1988年)。シャシーはセリカからコロナへチェンジ。最後のFRカリーナだ

 カリーナに肉薄されたコロナは、1982年に送り出した7代目で路線の転換を図り、日本初のツインカムターボなどを投入する。

 1983年に新規デザインの5ドアを投入したが、駆動方式はキャビンを広くできる前輪駆動だ。

 秋にはFF方式の4ドアセダンが加わり、正式に8代目コロナを襲名したのである。

 1985年は両車にとって節目の年だった。

 セリカがFFスペシャルティカーに生まれ変わったのを機に、コロナにFFの2ドアクーペを、カリーナには4ドアHTの「ED」を設定している。

 そして1987年に登場した9代目コロナと1988年に登場した5代目カリーナではFFの共通プラットフォームを採用。

トヨタ 9代目コロナ(1987~1992年)。デザインは洗練されたが存在感は低下。写真はスーパールーミー(ストレッチ)
トヨタ 9代目コロナ(1987~1992年)。デザインは洗練されたが存在感は低下。写真はスーパールーミー(ストレッチ)
トヨタ 5代目カリーナ(1988~1992年)。トレンドのエアロボディを採用するも、大きく人気凋落してしまった
トヨタ 5代目カリーナ(1988~1992年)。トレンドのエアロボディを採用するも、大きく人気凋落してしまった

 1989年秋、カリーナEDも第2世代に移行し、これを機に双子車のコロナはクーペを廃してEXiVを誕生させた。

 コロナとカリーナが栄華を誇ったのはここまでだ。

■1990年代以降、急激に輝きを失う

 1990年代になると、週休二日制の定着やアウトドアブームの到来により、セダンとクーペはユーザーから敬遠されるようになった。

 1992年にコロナとカリーナは相次いで新型になり、新たにフルタイム4WDも送り込んだ。だが、若者離れ、セダン離れは止まらず、販売台数は前作の半分に激減する。

 そこで軌道修正し、1996年1月に登場する11代目は「コロナプレミオ」を名乗っている。半年後に登場した7代目カリーナもセダンだけに絞った。

トヨタ 11代目コロナプレミオ(1996~1901年)。コロナ最後のモデルでプレミオのサブネームを付与。だが好転はせず
トヨタ 11代目コロナプレミオ(1996~1901年)。コロナ最後のモデルでプレミオのサブネームを付与。だが好転はせず
7代目カリーナはコロナにない5MTのGTを設定していた
7代目カリーナはコロナにない5MTのGTを設定していた

 21世紀になるとコロナは「プレミオ」と改名し、44年、11代でコロナの名が消滅する。

 カリーナも7代で絶え、「アリオン」として新たなスタートを切ることになった。

 両車ともミドルクラスでは希少となった5ナンバーサイズの小型車枠を守り通した実用性の高い4ドアセダンだ。

 デビュー時は買い得感の高さと使い勝手のよさがウケ、好調な販売を記録した。

トヨタ 初代プレミオ(2001~2007年)…使い勝手、室内スペースなど大幅進化し、まずまずの販売をマーク
トヨタ 初代プレミオ(2001~2007年)…使い勝手、室内スペースなど大幅進化し、まずまずの販売をマーク
トヨタ 初代アリオン(2001~2007年)。初代アリオンはプレミオよりもスポーティなイメージが与えられた
トヨタ 初代アリオン(2001~2007年)。初代アリオンはプレミオよりもスポーティなイメージが与えられた

 その後も年間10万台近くの販売を記録し、2007年には第2世代になっている。良質な小型車が少数だったこともあり、ベテランの人たちに愛された。

 だが、販売は下降線をたどったため、2021年3月をもってプレミオとアリオンは生産を終了する。

 トヨタを引っ張り続けた5ナンバーサイズの名車が密かに消えていくのは、コロナ、カリーナの輝いていた時代を知っている世代としては、とても悲しい。

●コロナキャッチフレーズ&CMキャラクター
・5代目 安全設計のNEWコロナ(田宮二郎)
・6代目 ハートがあるから頼れます(長嶋茂雄)
・7代目 舞台は主役を待っていた(ロジャー・ムーア)
・8代目 僕らに、引力(加藤和彦ほか)
・8代目 ふつうに愛せる、新コロナ(加藤和彦ほか)
・9代目 なによりもコロナ(……)
・10代目 コロナ氏 登場(中村雅俊)
・11代目 ……(緒形拳)

●カリーナキャッチフレーズ&CMキャラクター
・初代 足のいいやつ(千葉真一)
・2代目 足のいいやつ(千葉真一)
・3代目 足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・4代目 新FF足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・4代目 足のいいやつ(千葉真一&岸本加世子)
・5代目 ときめきのカリーナ(松本孝美)
・5代目 いつも、あたらしいふたりに(山口智子)
・6代目 丘の上のカリーナ(富田靖子)
・7代目 アイ・ラヴ・ラン(役所広司&中村久美)


次ページは : 【番外コラム】コロナ&カリーナの派生車トピック

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