世界初! 自動化レベル3ホンダ新型レジェンド公道試乗レポート【自律自動運転の未来 第5回】

■手放し運転をできるのにしない、しないで何をするのか

 まずは、もっとも気になる「手放しせずになにをするのか?」。

 レベル3稼働時は、(走行中でも)車載のセンターディスプレイ(カーナビなどが表示される画面)にテレビやDVDの映像を流すことが可能です。さらに、道路交通法でこれまで禁止されていたスマートフォンの画面を注視することも規定から除外(≒許可)されます。

 一方、ホンダは独自の安全基準を策定し、スマートフォンやパソコンを手にして操作したり、食事をしたりすることはTORによる早期の運転再開がむずかしいことから「NG項目」として啓発。また、正しい運転姿勢が崩れることから、運転席のバックレストを大きく倒したり、後ろへ移動したりすることもNGです。

首都高速の渋滞時に「ハンズオフ」体験中。この状態ならディスプレイにテレビやDVDを流してそれを見ることも可能(スマホ操作はホンダ独自の安全基準としてNG)
首都高速の渋滞時に「ハンズオフ」体験中。この状態ならディスプレイにテレビやDVDを流してそれを見ることも可能(スマホ操作はホンダ独自の安全基準としてNG)

 筆者は前回のレポートで、これらサブタスク(一例が上記の「画面を見る」こと)を「移動の質」向上の策としてドライバーの責任において採り入れる提案と共に、TORにすぐさま応えられなかった筆者自身のアメリカでの実体験を元に「時期尚早ではないか」と報告していました。

 でも、前言撤回します! Honda SENSING Eliteでのサブタスク、大いに結構! 一人でも多くのドライバーに体験していただきたい、そう心底思います。もっとも法人リース販売で上限100台の制約があるため限界はありますが、「ホンダ渾身のレベル3技術」にどっぷり浸かって自動運転社会の第一歩を共有し、体験者として世界に向けて発信していただきたい。

 なぜなら、前述した意識すべき一つ目に掲げた積極的な協調運転は、レベル3技術を公道で体験してはじめて理解が進みます。そして、体験者の声は社会的受容性の向上にとっても不可欠です。

 また、こうした声はHonda SENSING Eliteを作り上げてきた技術者の方々にとっても大きな財産になるのではないでしょうか。

■測定誤差わずか5cmで自車位置を把握

「プロトタイプからの進化ポイント」も数多くありました。

 そのひとつが、cm単位で操舵を行なうステアリング制御です。Honda SENSING Eliteでは前走車への追従機能である「ACC」と、車線中央維持機能である「LKAS」がセットで構成されています。高速道路の本線上で、別々のスイッチをそれぞれ1回、都合2回触るとACC&LKASの自動化レベル2走行が提供されます。

 車両境界線(白線や黄線)の読み取りは、フロントガラス上部の2連装光学式カメラ(単眼式で左がメインカメラ、右がサブカメラ)を主センサーとして行ないます。さらに前後左右4つのカメラで補完しつつ、全球測位衛星システム(GNSS)からの信号と、高精度地図(HDマップ)に収録されているデータとの照合により正確な自車位置把握を行ないます。その測定誤差は横方向でわずか5cmです。

カメラ、センサー、そして衛星からの情報で自車位置を把握
カメラ、センサー、そして衛星からの情報で自車位置を把握

 ちなみに、本連載の第3回でレポートした通り、Honda SENSING Eliteではシステムの冗長性(≒複数経路による確実な実行が期待できる能力)を向上させています。具体的には、制御をグループ1とグループ2に分け、それぞれに電源を確保した二重系統で行なっています。

 グループ1はメインカメラとミリ波レーダーが中心で電源はエンジンルームのバッテリーから供給、グループ2はサブカメラとライダーが中心で電源はトランクルームのバッテリーから供給します。

 パワーステアリングはシングルモーター方式ですが、電源はこちらも二重で確保。トルクセンサーも2つ搭載し精度を高めています。ブレーキも二重で電源が確保され、一方が横滑り抑制装置「VSA」で、片方が電動サーボブレーキを制御します。停車保持機能の「オートブレーキホールド」と、電動パーキングブレーキ「EPB」も別系統で構成されています。

 Honda SENSING Eliteでは、こうして高められた冗長性によって、ひとつの電源系統に不具合が発生しても、最低限の車線中央維持機能「LKAS」とブレーキによる減速制御は確保できるといいます。

 LKASは頑なに車線の中央を走る一方で、たとえば自車の隣車線に大型トラックなどが走行している場合は、車線中央から7㎝離れて横方向の車間距離を保ちます。

 ドライバー(とHonda SENSING Elite)の安心感を高めるために意図的に行なわれる制御ですが、大型車ドライバー側(筆者もその一人)からしても進路がひらけていることから安心して気持ち良く走れます。同様にカーブでは7cmの範囲内で、センター・イン・センターのラインを通りスムースな通過をアシストします。

次ページは : ■「レベル3」でも走行中「レベル0」になるということが重要

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