自動運転にまつわる連載企画、第5回となる本編では、先ごろ世界で初めて「公道で自動運転レベル3」が走行可能な市販車、ホンダ新型レジェンドの試乗記事をお届けします。何が新しいのか、何ができるのか、今後どのように発展してゆくのか。解説します。
文/西村直人 写真/奥隅圭之、HONDA
自動運転技術での「日本」の現在地 【自律自動運転の未来 第1回】
「自動運転」とは何か? 【自律自動運転の未来 第2回】
現在の自動化レベル3技術とは? 【自律自動運転の未来 第3回】
そんなに手放し運転したいですか?【自律自動運転の未来 第4回】
■レベル3で可能になる「3つのフリー」
待ちに待ったHonda SENSING Eliteを搭載したレジェンドの公道試乗です。
アクセルやブレーキの操作から足を解放する「フットフリー」、ステアリングから手を放す「ハンズフリー」、安全確認を行なうドライバーの視線を解放する「アイズフリー」、この3つの部分的な解放がHonda SENSING Eliteから得られます。
世界初とは、自動化レベル3技術の範ちゅうで自動運転が行なわれることを示していて、その車両には「条件付自動運転車(限定領域)」という名称が付けられました。
■現在の自動化レベル3技術とは? 【自律自動運転の未来 第3回】
Honda SENSING Eliteを搭載したレジェンドはこの国内認可第一号車であり、同時に世界初のレベル3市販車両として名を残します。
誰もが一度は夢見たであろうボタンひとつで目的地へとクルマが運んでくれる、そんな自動運転社会。この扉をHonda SENSING Eliteが開いたわけですが、今回の試乗を通じ、実際の交通環境で使用するにはドライバーとして意識すべき点があることがわかりました。それは次の3点です。
一つ目は、ドライバーがシステムに対する積極的な協調運転を行なうことで、安全で快適な移動が期待できること。システムからの呼びかけは段階的に強まります。早い段階で応答することが理想です。
二つ目は、自動化レベル3が稼働中であっても状況により0~3の4段階のレベルを行き来する制御が行なわれること。これは周辺の道路環境や車両情報、さらにはドライバーの状態によって変化します。
三つ目は、Honda SENSING Eliteは自動化レベル3技術だけで構成されていないこと。「運転支援車」領域の技術も大幅に機能強化され、同時に連携度合いも高まっています。
この3点を踏まえた上でもっとも大切なHonda SENSING Eliteとの約束事は、いつどんな時であっても、システムからのTOR(Take Over Request/ドライバーへの運転再開要求)に応えなければならないことです。今回、年度末の激しい渋滞が続く首都高速道路の高速湾岸線(片側2~3車線)を中心に試乗したわけですが、TORは何度も発報されました。
さて、ここからは前回の「結び」で示した「手放しせずになにをするのか? ホンダ渾身の自動化レベル3技術は? 2017年にテストコースで試乗したプロトタイプからの進化ポイント」を軸に、筆者が「すばらしい!」と感じたところからレポートを進めます。
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