世界初! 自動化レベル3ホンダ新型レジェンド公道試乗レポート【自律自動運転の未来 第5回】


■ハンドルがオレンジに光り、「ハンドルを持って!」と表示

 このとき車内で起こるTORは、視覚情報としてこれまで水色に点灯していた2カ所(グローブボックスとナビ画面上部)のLEDが反対色のオレンジ色になり、ステアリングのLEDはオレンジ色の点滅へ。ステアリング越しのディスプレイには、「ハンドルを持って!」というアイコン表示されます。同時に聴覚情報としてチャイムが連動して鳴り響き、これらはドライバーがシステムからの呼びかけに応じて、ステアリングを握って回避動作がとれるよう準備が整うまで続きます。

走行中でも状況に応じて「レベル3」から「レベル0」まで変化する。レベルが下がり、運転者が運転に復帰する場合、写真のようにインパネ各所がオレンジに点滅して「運転に復帰してください」と指示することになる

 2の状態で危険から遠ざかったとシステムが判断した際には、2→3→4へと段階的にシステム制御を向上させ、システム責任の自動化レベル3走行が再開されます。

 仮に4、もしくは2の状態でドライバーがブレーキ操作を行なえば、システム制御は1の段階、つまり自動化レベル0まで一気にレベルダウンし手動運転となり、システムは稼働を停止します。例えばACC稼働時にブレーキ操作でシステムが解除されることと同じ理屈です。状況が好転した時点でドライバーが周囲の安全を確認し、改めてスイッチを2回押すことでシステムは再稼働します。

 上記の割り込み例以外にも、4→2へのレベルダウンは、前走車の前で発生した割り込みが原因で前走車が強めのブレーキをかけて減速したり、隣車線を走る車両が急接近したりした場合にも発生します。

 また、「意識すべき三つ目」でお伝えしたとおり、Honda SENSING Eliteでは、この2の段階での精度が飛躍的に高められています。ミリ波5個/ライダー5個/光学式カメラ6個/超音波ソナー12個の各種車載センサーにはじまり、HDマップやGNSSとの照合による正確な自車位置把握……。これらは自動化レベル3を支える要素技術でありながら、たとえば自動化レベル2のACCやLKASの精度も高め、前述した1~4の行き来で起こる技術の谷間をなだらかにして、スムースな運転支援や自動運転を行ないます。

走行中に「自動運転レベル」が下がり、運転復帰を指示されても運転者が運転「しない」場合、レジェンドは緊急停止するようプログラムされている

■システムに出来るのは「急ブレーキ」のみ

 最後に法的な側面を考えます。

 本稿執筆時(2021年3月末)現在、WP29における自動化技術の国際基準では、「レベル3稼働時は同一車線において前車に追従」とあります。つまり車線変更が含まれていません。

 このことから、システム側からすれば「急な割り込み車両」などに対する危険回避には急ブレーキのみが唯一にして最大の事故抑制策です。その先のステアリングによる回避はドライバーが責任をもって行なうべき運転操作として残ります。

 こうしたことを踏まえると、システムには1秒でも早くTORを発報してドライバーに危険を知らせることが求められ、ドライバーには1秒でも早くTORに反応して回避動作につながる運転操作を行なうことが求められます。

 Honda SENSING Eliteによって扉が開かれた自動運転社会。

 可能であればこの先、長距離の試乗を行って、システムと交わされる協調運転に長時間触れ合うことで生まれる身体変化を感じてみたいと思います。その際は、こうしてまたレポートを行ないます。