日本は周回遅れになってしまう!? 今最も電動化が進んでいるのはどこの国なのか?【クルマの達人になる】

日本は周回遅れになってしまう!? 今最も電動化が進んでいるのはどこの国なのか?【クルマの達人になる】

 日本でも、2020年12月に政府が打ち出した「2050年カーボンニュートラル」政策をもとに、2030年半ばに向けて新車の電動化を表明したことでどんどん進む。

 それは世界的な流れでもあるのだが、結局今のところ電動化推進が最も進んでいるのは、どこの国なのだろうか? 言い出しっぺともいえる欧州(ドイツなど)やアメリカなのか? それとも少し減速したとはいえ中国なのか? 実は大穴がいるのか!? 現在の電動化の勢力図はどうなっているのか分析していく。

※本稿は2021年3月のものです
文/国沢光宏
写真/WULING MOTORS、MITSUBISHI、NISSAN、編集部
初出/ベストカー2021年4月10日号

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■いま世界で最も電動化が進んでいる国はどこなのか?

 世界規模で考えると今や電気自動車の導入は避けられない流れになってきた。

 いまだに「電気自動車は面白くない」に始まり「高い」とか「電気をどうやって作るんだ?」という忌避論や「欧米の戦略だ。日本はハイブリッドで行けばいい」みたいなことを真剣な顔して主張している人もいるけれど、世界を見るとゲームチェンジした。例えばGAFAは出入り業者に対しカーボンフリーのモビリティを使うようプレッシャーをかけ始めてます。
※GAFA:米国の主要IT企業であるグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)の4社の総称

 アマゾンの荷物を運ぼうとしたら、電気自動車を導入するしかない。国際優良企業は続々とそんな動きになり始めた。だからこそ佐川急便も宅配用に電気自動車の軽トラックを7000台導入することを決めてます。

 欧州を見ると企業イメージ向上のためカンパニーカー(日本でいえば定期券の感覚で通勤用のクルマを支給する社会システム)に電気自動車を指定するケースが急増中。日本に居るとそういった流れの変化を感じないものの、欧米中は確実に電気自動車へ向かってます。

 そんななか、現時点で最も電気自動車が普及している国はどこだろうか? もはや日本だと思っている人は少ないと思う。世界に先駆けて量産電気自動車を販売した我が国ながら、元祖の三菱『i-MiEV』は日進月歩の電気自動車なのに13年間も進化せず!

 日産だって追いつかれ、完全に追い抜かれてしまった。間もなくデビューする『ARIYA(アリア)』も、予価の段階で欧州じゃ勝負にならない可能性あり。ライバルは多数います。

2009年に発売開始され2021年3月に販売終了した三菱『i-MiEV』。今後は日産と三菱の共同開発による軽EV『IMk』に引き継がれることになる
2009年に発売開始され2021年3月に販売終了した三菱『i-MiEV』。今後は日産と三菱の共同開発による軽EV『IMk』に引き継がれることになる
日産インテリジェントモビリティを究極に体現する『アリア』。リーフで養ったEV技術を昇華し、ワンランク上の新たなプレミアムEVを目指す
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 ということで、現在世界一の電気自動車普及率となっているのはノルウェー。新車の販売比率で50%を超えており、今年2021年には60%以上になると言われている。

 しかも2025年からエンジンを搭載したクルマの販売が禁止されることになっており、規制撤回の話すら出ないまま粛々と電気自動車化を進めている。ヨーロッパは急速に電気自動車比率を高めており、オランダやフランスなど10%を超えた。ドイツですら10%に迫る勢いだ。

 アメリカの場合、トランプ政権が環境問題に関心を示さなかったこともあり直近の数年で足踏み状態だったが、それだってカルフォルニア州のように電気自動車の販売比率が5%を超える地域など出てきた。バイデン政権になり加速するだろう。

 アメリカでも日本ブランドの存在感は限りなく薄くなっている。リーフの販売シェアは右肩下がり。日本勢がアメリカで存在感を見せないと厳しいビジネスになりそうだ。いずれにしろ米国内では、電気自動車が順調に販売台数を増やしている。

 中国はたくさんの電気自動車メーカーがあり、ここにきて60万円の高性能小型電気自動車を出したGM五菱汽車の売れゆきが赤丸急上昇中。

中国の上汽通用五菱汽車(略称:SGMW)が販売する『宏光MINI EV』。 中国では充電スタンド建設への補助金支給によりインフラが整ってきた
中国の上汽通用五菱汽車(略称:SGMW)が販売する『宏光MINI EV』。 中国では充電スタンド建設への補助金支給によりインフラが整ってきた

 2020年11月までの統計しかないけれど、204万台の電気自動車を販売しているから驚く。台数で考えるなら中国が圧倒的だと思っていいだろう。そんな視点から我が国を見ると、2020年における日産『リーフ』の販売台数は1万1286台。先進国のなかで最も普及していない国になってしまった。大丈夫か日本?

発売から10年が経過した日産『リーフ』。量産EVの先駆者的役割を果たしてきたクルマだが、進まない日本のインフラが足かせとなり普及するまでには至っていない
発売から10年が経過した日産『リーフ』。量産EVの先駆者的役割を果たしてきたクルマだが、進まない日本のインフラが足かせとなり普及するまでには至っていない

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