■優れた航続距離を実現しながら価格も抑えている
まずRAV4 PHVの優れた性能が挙げられる。リチウムイオン電池の総電力量は18.1kWhと余裕があり、プリウスPHVの8.8kWh、従来型アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVの13.8kWhを大幅に上まわる。
そのために1回の充電で走行できる距離も、WLTCモードで95kmに達する。プリウスPHVの60km、アウトランダーPHEVの57.6kmやエクリプスクロスPHEVの57.3kmに比べると、エンジンを始動させずにモーター駆動のみで走行できる距離が長い。
しかも前輪を駆動するモーターは、海外で販売されるLサイズSUVのハイランダーハイブリッドと共通化され、充電機能を備えないRAV4ハイブリッドに比べて強力だ。エンジンと前後に搭載されたモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は306馬力に達する。
RAV4ハイブリッド4WDの222馬力を大幅に上まわった。従ってRAV4 PHVは動力性能も力強い。
RAV4はもともと人気の高いSUVで、PHVになると、1回の充電でほかのプラグインハイブリッド車よりも30km以上長い95kmを走行できる。しかも動力性能も優れ、価格は「G」グレードが469万円、「G・Z」は499万円だから従来型アウトランダーPHEVと同等だ。この高機能と割安感により、RAV4・PHVは人気車になった。
■ライバル車が少ないことの影響も大きい!
日本車にRAV4 PHVに対抗できるプラグインハイブリッドが少ないことも影響している。プリウスPHVの登場は2017年だが、ベースになったハイブリッドのプリウスは2015年だから新鮮味は乏しい。
アウトランダーPHEVは、現時点でフルモデルチェンジ直前の状態にある。エクリプスクロスは、PHEVの投入は2020年12月だが、車種自体は2018年の発売だから新鮮味でやや落ちる。
つまりRAV4 PHVの商品力に対して、ライバル車のインパクトが弱いため、人気が集中したわけだ。
ただしRAV4 PHVの納期が長引くのは困る。今は新車需要の80%が乗り替えに基づくから、大半のユーザーは今まで使ってきたクルマを下取りに出して新車を買う。
そうなると新車購入の商談は、愛車の車検期間が満了する2~3カ月前に開始する。この時点で納期が半年以上も先では、納車を待つために車検を取ったり、愛車だけ先に売却してクルマを持たない期間を過ごさねばならない。
顧客を待たせないことも、商品力の大切な柱だから、生産計画を入念に整えて欲しい。
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