ジャーマン3は設定も興味なし? 国内メーカーはなぜステーションワゴンを作らないのか!?

■いまのレクサスにシューティングブレークは必要か?

 そこでふと気づくのが、レクサスにワゴンがないことだ。厳密にいうと、過去には唯一、海外では『ISスポーツクロス』というレクサスの一員としてラインアップされ、日本でも『アルテッツァジータ』の名称で販売された、ショートワゴンと5ドアハッチバックのストレッチ版の中間的な、ちょっと変わりダネのモデルがあった。

2001年に登場した『アルテッツァ・ジータ』こと別名レクサス『ISスポーツクロス』。3L直6エンジンを搭載しFRレイアウトと尖がった仕様だった
2001年に登場した『アルテッツァ・ジータ』こと別名レクサス『ISスポーツクロス』。3L直6エンジンを搭載しFRレイアウトと尖がった仕様だった

 独特の雰囲気を持つ同車は、それなりに注目されたように記憶しているが、数としてはレクサスにとって納得いくものではなかったようだ。その後も、『IS』や『GS』『ES』をベースとするワゴンがあっても不思議ではなかったものの、これまで設定されたことはない。

 そのかたわらでレクサスは、SUVのラインアップ強化には積極的だ。日本では長らく『RX』のみだったが、海外には『ランドクルーザー』をベースとする『LX』と『GX』もあるものの、当初はサイズの大きな車種のみだったところに、『NX』や『UX』を加えてフルラインアップ化を図ってきた。

 もともと北米に軸足を置いていたレクサスは、その後も欧州ではいまひとつ伸び悩むいっぽうで、北米や中国では好調だ。そして、北米や中国はワゴンよりもSUVが求められる市場であることも大きく影響しているに違いない。

 もしレクサスにワゴンがあれば、それなりに支持されたことだろうが、自らが開拓した得意のSUVをより強化するほうが賢明と判断するのはごく自然のこと。その意味では、あえてワゴンに「逆戻り」する必要もないのではないだろうか。

 レクサスでは、既存のボディータイプありきでは開発をしておらず、多様化する世界中のユーザーのニーズに迅速かつきめ細かくお応えするクルマづくりを進めており、各モデルで独自の個性や価値を提供して参りたいと考えていて、それを個々の車種だけでなく、ラインアップ全体でどのようにニーズに応えるか考えている。

 そして、初代RXがラグジュアリーSUV市場を開拓したように、今後も新しい価値の提供に向け、あらゆるジャンルのモデルの可能性を追求していくとしている。

 思えば、いまでこそクロスオーバーSUVは当たり前のものだが、1997年に『初代RX=ハリアー』が世に出たときには、非常に斬新に目に映ったものだ。

 当時のリリースには、「高級乗用車の基本性能と、スポーツ ユーティリティの機動性・機能性を併せ持つ、新しい資質を備えたイノベーティブなスポーツ ユーティリティ サルーン」という「新ジャンルの高級車」である旨が記されている。やがて世界中のメーカーから追随したクルマの数々が送り出されることになったのは周知のとおりだ。

 そんな常に新しいものを追求するレクサスは2021年3月30日、ブランド変革に向けた取り組みを、次世代レクサスを象徴するコンセプトカーとともにオンラインで発表した。

2021年3月30日にレクサスブランドのEVコンセプトモデルとして発表された『LF-Z Electrified(エレクトリファイド)』。新たな4駆システム「DIRECT4」を搭載、90kWhのバッテリーで600km走行可能
2021年3月30日にレクサスブランドのEVコンセプトモデルとして発表された『LF-Z Electrified(エレクトリファイド)』。新たな4駆システム「DIRECT4」を搭載、90kWhのバッテリーで600km走行可能

 これまた、SUVクーペやシューティングブレークといった既成概念にとらわれない、まさしく新しいタイプのクルマのように見受けられる。利便性に優れたクルマを、いかに魅力的に見せるか。SUVラインアップの一段落したレクサスが次に目指すのはそこだろう。

【画像ギャラリー】レクサスブランドのEVコンセプトモデル『LF-Z Electrified(エレクトリファイド)』を写真でチェック!!

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