日産が『新型エクストレイル』を4月21日から開催される上海モーターショーで初公開すると公表した。しかし、この情報を聞いた、日本のファンからは失望の声が上がっている。
日本市場でかつて大人気だった初代エクストレイルの印象が強く、「エクストレイルは日本のマーケットのもの」というイメージが強くあるからだ。日産は日本市場を軽視していると常々言われており、ゴーン体制を捨て新体制になった際には、国内市場も重要であり手を打っていくと語っていたのだが……。
日産は国内市場を本当はどう考えているのか? 日産が想定しているであろう戦略、そして日産に求められるについて考察していきたい。
文/渡辺陽一郎
写真/NISSAN
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■世界戦略車は、基本的に大きいマーケットから順に売られる
2021年4月21日から開催される「上海モーターショー2021」で、日産『新型エクストレイル』が披露される。また新型エクストレイルの姉妹車になる『ローグ』は、北米で2020年10月から販売されている。つまり新型エクストレイルの国内発売は、実質的に北米と中国に先を越された。
日産の販売店によると、「海外では新型ローグが発表され、お客様から新型エクストレイルに関する問い合わせをいただいているが、メーカーからは情報を受け取っていない。現時点では現行エクストレイルの注文を普通に入れられる」という。
日本で販売されている従来型のエクストレイルは、北米でローグが販売を開始した2020年10月に、仕様を向上させた。外装色を見直して内装の質も高め、装備を充実させている。小規模でもコストを費やして変更を行えば、少なくとも1年間は販売を続ける。
そうなると日本における新型エクストレイルの発売は、2021年の末から2022年になりそうだ。日産では「日本向けのエクストレイルは、熟成を重ねて発売する。ノートも現行型は国内専用車になっていて、新型エクストレイルも同じように日本のお客様に適したクルマになる」としている。
新型エクストレイルは前述のとおりローグがベースで、日産と業務提携を結ぶ三菱『アウトランダー』も、新型は基本部分を共通化する。そして北米では、2021年4月に新型アウトランダーが発売されたが、日本では今でも旧型を売る。販売店によると「新型の発売時期などは未定」とのことだ。
このほかスバルの『アウトバック』は、2019年7月に北米で新型の生産を開始したが、日本では2021年1月まで旧型を売っていた。今は休止している。ホンダ『現行アコード』は、北米の発売から2年半を経過した後で、日本国内の販売を開始した。それまでは旧型を売っていた。
以上のように今の日本車では、海外市場を優先して発売され、国内はあとまわしになることが多い。なぜ国内の発売は海外よりも遅いのか。メーカーの商品企画担当者に尋ねると以下のように返答された。
「今は軽自動車やミニバンのような国内向けの車種を除くと、同じクルマを海外でも扱う。地域によって仕様が異なるため、世界で同時に発売するのは難しい。必然的に順番を決める。その時は販売規模の多い地域から発売していく。北米や中国は、日本に比べて需要が多いから、発売の順番も先行する」
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