「高空気圧=破裂しやすい」は間違い! 月イチ点検で気を付けたいタイヤの低空気圧

「高空気圧=破裂しやすい」は間違い! 月イチ点検で気を付けたいタイヤの低空気圧

 暖かい日が増えて、外に出るのが快適で心地いい時期になってきた。新型コロナウイルスは相変わらず猛威を振るっていて、感染予防対策には気を配る必要があるものの、完全に家に閉じこもるのは生活の上でも不可能であるし、何より精神衛生上よろしくない。

 クルマなら道中はパーソナルな空間を保てているし、目的地が屋外なら密を避けれる。近場でドライブを楽しんだり、時期をずらしてちょっと出掛けてみるなど、混雑を避けて安全で快適な息抜きをすることも大事だ。

 そんなことで、クルマで出掛けるのであれば、絶対に点検してほしいことがある。それは「タイヤの空気圧」。しばらくタイヤの空気圧を点検していない、というのであれば、出掛ける途中、近所で給油する時で構わないから、高速道路を利用する前に、タイヤの空気圧を点検しよう。

2019年度のJAF調べによると、一般道路におけるタイヤのトラブルが全体の約20%なのに対し、高速道路は約40%と2倍になっている(4frame-group@Adobe Stock)

 ご存じのようにタイヤは高分子素材であるゴムからできているため、分子間を気体が透過するので自然にわずかずつではあるが空気が抜けていく。大気中では安定した物質である窒素はゴムを通過しにくいが水蒸気(つまり空気の湿気)などはゴム分子に馴染むこともあって透過しやすい。

 そしてタイヤ内部の空気も外気温の影響を受ける。その結果、季節の変わり目など気温が変化する時期は、タイヤの空気圧の変化が大きくなることもあるので、この時期は重点的にタイヤの点検を行なうように習慣づけるたい。

 今回はそんなタイヤの点検について解説していきたい。

文/高根英幸
写真/Adobe Stock(OPgrapher@Adobe Stock)、編集部

【画像ギャラリー】タイヤの空気圧をチェックしてトラブルを未然に防ぐ!!


■クルマの指定空気圧は基準だが絶対の数値ではない

 同じタイヤサイズや銘柄であっても、クルマによって指定の空気圧は変わってくる。それは、タイヤの空気圧が燃費や乗り味、ハンドリングにブレーキ性能まで、あらゆる走りの要素に影響を与えるからだ。つまり自動車メーカーの新車開発も、レーシングチームのセッティングのように、最後はタイヤの空気圧で微調整しているのである。

 タイヤが古くなるとゴムが硬化してきて、同じ空気圧でも走りのしなやかさは失われていくし、摩耗して残り溝が少なくなることもあって、ロードノイズも増えていく。だから、指定空気圧をどんな状態でもキッチリ守る必要はない。何も考えずに安全性だけは確保したいなら指定空気圧を守ればいいが、自分好みのセッティングを見つけ出すのも、タイヤを点検する楽しみのひとつだ。

 特に純正タイヤを履きつぶし、アフターマーケットでよりコンフォートなタイヤ、エコなタイヤ、スポーティなタイヤなど純正タイヤ以外のタイヤ(同じ銘柄でも純正部品として供給されているタイヤとアフターマーケット用も異なることが多いので注意)を履かせた場合には、微妙な空気圧の違いで乗り味の変化が楽しめるので、是非とも試して欲しい。

 ここで問題となるのは、どこまでなら指定空気圧から変化させられるか、だ。乗車人数によって指定空気圧が異なる場合は、少ない乗員数でもフル乗車の空気圧を上限とすれば間違いない。指定空気圧が1種類であれば一般的に上下1割程度は調整幅だと考えていい。

指定空気圧の1割程度の範囲で空気圧を調整することは可能

 この空気圧は、できればタイヤが冷えている時に測るほうがいい。高速道路など連続走行した時には、タイヤの温度が上昇して、空気圧も高くなっている。

 タイヤの空気圧が高すぎると、走行中にバースト(破裂)してしまうのではないか、と思うドライバーもいるようだが、それは自転車などタイヤ構造が古典的で華奢なものだ。クルマのチューブレスタイヤは、ホイールに組み付ける時にビード部を密着させるために一時的に高い空気圧を利用する。それくらい高い空気圧を一時的に受け入れられる構造になっているので、指定空気圧の1.5倍程度までは安全上は問題ないよう設計されている。

 タイヤの空気圧を高めにすることで得られるメリットは主に2つある。1つはクルマがしっかりしたような乗り味に仕上がること。そしてもうひとつは転がり抵抗が減少して、燃費が向上することだ。それに対してデメリットは路面との接地面積が減って、路面とのグリップ力が低下してしまう。特にウエット時のブレーキ性能は安全性に関わる部分なので注意が必要だ。それでも指定空気圧より1割程度の増加であれば、それほど影響はないハズだ。

 ただし、指定空気圧よりも大幅に高いとグリップ力が不足するだけでなく、トレッドの中央が減り過ぎる偏摩耗や、足回りへにダメージを与える可能性も出てくる。次回の空気圧チェックまでの低下分を見込んでも、少し高めにしておくほうがいいが、せいぜい1割だと考えよう。

■タイヤ空気圧は低いほうが危険なことが多い。

 それよりも問題なのは、指定空気圧よりも低すぎるケースだ。インチアップによるタイヤサイドウォールの剛性向上や好みの乗り心地の問題から、タイヤの空気圧を低めにしたい場合もある。それでもせいぜい1割程度が下限と思ったほうがいい。むしろインチアップして空気圧を落とすのは、タイヤへの負担が高まるのでオススメできない。

 やはり危険なのは、タイヤの空気圧などすっかり忘れて、クルマを利用し続けている場合だ。車検以外はガソリンを給油するだけで乗り回していたら、タイヤの空気圧はかなり減少する。そのまま乗り続け、高速道路を走行すると、バーストする可能性が高くなる。

 タイヤは空気圧が少ないと、路面に接触しているトレッド面の変形量が増え、タイヤ全体が波打ったようになるスタンディングウェーブ現象を引き起こしたり、その変形や振動によってタイヤ自体の温度が上昇し、バーストしてしまうこともあるのだ。

空気圧が少ないことでスタンディングウェーブ現象が発生(madscinbca@Adobe Stock)

 縁石やキャッツアイなどを乗り越えた時に、リムとの間で潰されてサイドウォール内部に剥離が起きてしまう、セパレーションと呼ばれるバースト予備軍のような状況になる危険性も、空気圧が低いと高くなる。

低扁平タイヤは低空気圧でセパレーションが起きやすい

 タイヤの空気圧だけでもボディ剛性や足回りの硬さとのバランスを追求すると、クルマの運転がが然、楽しくなってくる。サーキットを走るなど速さを追求しなくても、タイヤは奥が深いものなのだ。

定期的な空気圧チェックは必須、ガソリン給油時にチェックしよう

 タイヤ空気圧の点検は、給油のたびに行なってもいい。タイヤの空気圧を自分でエアゲージなどを使って行なうなら、ついでにタイヤのサイドウォールのヒビ割れや、トレッド面に異物などが刺さっていないか、残り溝はどれくらいか、中央やショルダー部など特定の部分だけ変摩耗していないか、などザッとでもいいから、見ておくようにすると、タイヤトラブルに遭うリスクも減らすことができるハズだ。

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