2輪ぶんはまだ使えそう!? タイヤ2本だけの交換はありなのか?

■4WD車は前後輪の摩耗に差がつきにくい

4WD車は前後輪が同じ速さで回転するため前後どちらか2本交換すると、前後輪に回転差が生じて駆動システムに負担がかかってしまう。4輪同時のタイヤ交換がお薦め
4WD車は前後輪が同じ速さで回転するため前後どちらか2本交換すると、前後輪に回転差が生じて駆動システムに負担がかかってしまう。4輪同時のタイヤ交換がお薦め

 問題は4WD車です。ほとんどの4WD車は前後のタイヤが同じ速さで回転するように作られています。ですからタイヤの摩耗も前後の差が小さくなります。それだけに前後どちらか2本交換してしまうと、前後輪に車輪の回転差が生じて駆動システムに負担がかかってしまうことが考えられます。

 問題になるのはタイヤの回転差です。185/60R14サイズのエコピアを例に挙げます。このタイヤの外径は578mm。タイヤの溝は新品時で約10mmありますから、外周長は1815.8mになります。5mm摩耗して5分山になると外周長は1784.4mm。

 外周長の差は3.14cmになります。ちなみに100m走ると新品タイヤは約55回転、5分山タイヤは約56回転で1回転の差がついてしまいます。時速100kmで走っている時、1分間のタイヤの回転数は新品918回転に対して5分山は934回転で16回転の差になります。駆動系に対して少し負担がかかっているのがわかると思います。

 4WDは前後輪で摩耗の度合いが大きく異なることはないのですが、それでも前輪外側の摩耗は進みやすいので、前後のローテーションはしたほうがいいと思います。前輪のタイヤ外側の摩耗が進むと曲がりにくくなります。曲がりにくくなるとハンドルを切る量が多くなってしまうので、さらに摩耗が進んでしまいます。

 4WD車は、通常の運転で「前だけ」、「後だけ」摩耗が進むというのは考えにくいので基本的には4本同時交換をお薦めします。

 問題は1輪だけがパンクしてしまった場合など不測の事態です。1本が使えなくなってしまった時、なかなか4本同時に交換する踏ん切りをつけにくいですよね。

 最悪の状況としては4WD車のデフ回りが発火原因とみられる車両火災の事例が数件あり、タイヤの前後異サイズが原因とされている例があります(実際の原因は定かではありませんが)。

 だから一般論としてタイヤ外径が違っても大丈夫、とは言いにくいところです。というわけで現状4WDに関しては、4本交換を基本と考えてもらうのがいいと思います。

■4年経過したタイヤは減りにかかわらず交換するのがお薦め!

こちらのタイヤはトレッド面に大きなひび割れができてしまっている。交換が必要だ(Martin@Adobe Stock)
こちらのタイヤはトレッド面に大きなひび割れができてしまっている。交換が必要だ(Martin@Adobe Stock)

 もうひとつタイヤ交換する際に注意したいのが、装着して何年経っているかです。4年くらいすると、摩耗が進んでいなくても、タイヤの油が抜けてしまうので、ゴムの柔軟性はかなり低下してきます。

 特に走っていないタイヤは走っているタイヤよりも劣化が進みやすいので、4年経過していたらまだ9分山8分山が残っているタイヤでも、新しいタイヤに交換することをお薦めします。

 たぶんそんなタイヤのトレッドブロックの根元あたりを見るとかなりひび割れが入っていると思います。浅く細かいひび割れなら許容範囲ですが、深いくっきりとしたひび割れがあるものはなるべく早めに交換しましょう。

  というわけで、結論としてはFF車とFR車は前後別々の交換はアリ。4WD車は基本的に2本だけの交換はしないほうがいい、といえると思います。

【画像ギャラリー】クルマの駆動方式に応じたタイヤの摩耗特性を知る

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