バスやタクシーはいつどう変わる? 公共交通機関と自動運転【自律自動運転の未来 第11回】


 自動運転にまつわる連載企画、第11回となる本編は、タクシーやバスにまつわる自動運転技術。多くの人が日常的に利用する公共交通機関。ある程度決まったルートを走行するケースが多く、自動運転には向いているようにも思いますが、そのいっぽうで、ビジネスモデルとして車両にあまりコストがかけられないなどの難点もあります。

 いまタクシーやバスの自動運転技術はどの程度進んでいるのか。業界の第一人者である西村直人氏に伺いました。

文/西村直人 写真/西村直人、Adobe Stock(アイキャッチ画像は@macrovector)

シリーズ【自律自動運転の未来】で自動運転技術の「いま」を知る

■「国民の足」のひとつ、タクシーの自動運転事情

 前回は、トラックを中心とした物流業界と自動運転技術の関わりを紹介しましたが、今回は公共交通機関(タクシーやバス)、さらにはサービスとしての移動体と称されるMaaSにおける自動運転技術を考えます。

 日本のおけるタクシーは年間約17億人の輸送を担う重要な公共交通機関であり、長らく国の規制がたくさん設けられてきました。

 それが2015年6月に行なわれた道路運送車両と道路運送車両の改正により「乗車定員10人以下のタクシー車両の基準緩和」が実施され、同時に、タクシーとして使用する車両規制の緩和も行われています。

 こうした背景を追い風に、タクシーでの実装と運用を見越した専用の自動運転技術の開発が進行中です。

■タクシーにも最先端自動運転技術が

 2021年4月、東京の臨海地区であるお台場において、「SIP東京臨海部実証実験」が開催されました。ここではトヨタ、日産、ホンダ、スバルが自動化レベル2やレベル3技術を搭載した市販車を出展したほか、サプライヤー企業やセンサー開発会社が実験車両を展示。さらに各社のプレゼンターによる技術紹介が行われ、会場周辺での同乗試乗も催されました。

 筆者はこの会場でレベル4相当の技術をもったタクシーに乗客として試乗。

 このタクシーには、自動運転技術のソフトウェア開発を行う「ティアフォー」(愛知県名古屋市)製の自動運転ソフトウェア「Autoware」が搭載されています。

ティアフォーの実証実験車

 Autowareはトヨタ「ジャパンタクシー」に組み込まれ、主センサーとしてLiDARと光学式カメラを組み合わせたフュージョンコントロール方式を用い、市街地用のHDマップ(高精度3次元点群情報)と、信号機からの情報(点灯色と、色が変わるまでの時間)を組み合わせ、レベル4相当の自動走行を(実証実験ながら)一般道路で実現しました。

「過去2年に渡る実証実験では徹底した走り込みを行った」(ティアフォー担当者)とのことで、制御はとてもスムースでした。

 また、横断歩道前で渡るか、渡らないかを躊躇する歩行者にも適切に対応するなど、大型第二種免許の保有者でバスドライバーの経験のある筆者からしても、実証実験レベルながらAutowareにより安全かつ確実な運行が行えることがわかりました。

 このティアフォーのタクシーは、Autowareがどのように外界を認識しているか簡易マップで表示します。興味深かったのは各所に点在する危険度合いの周知方法です。

 ODD(Operational Design Domain/運行設計領域)によって定められたルート上に走行する際に、順調である、つまり危険度合いが低い場合には、自車が進むルートを緑色で示します。

ティアフォーのディスプレイ表示

 状況が変わり進行方向の前後に、たとえば車両が接近してきたり、システムが横断歩道を渡ろうとしたりする歩行者を発見した場合には、緑色→黄色→赤色に表示を変えて、システムが今、何に対して注意を払っているか同乗者に知らせています。緑が進む、黄が注意して減速、赤が停止といった具合です。

次ページは : ■欧州でもタクシーの自動運転車両が参加

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